今回、ご紹介する書籍はこちら!
タイトル | 「自己肯定感低めの人」のための本 |
著者 | 山根洋士(心のクセを直す「メンタルノイズ」カウンセラー) |
出版社 | アスコム |
初版発行年月日 | 2020年10月2日 |
本書は、昨今メディアに取り上げられている「自己肯定感」が低い方への書籍です。
ただし、「自己肯定感を高める方法の本」ではなく、「自己肯定感が低めでも悩まなくなる方法の本」なんです。
自己肯定感が低いと、なにかと自己否定・自己嫌悪の想いに囚われることがあります。
本書は、その自己否定・自己嫌悪が生じるのは「心のクセ=心のノイズ」であり、ノイズはただのノイズだと理解すること(「自己認知」や「メタ認知」といいます)が、自己肯定感の低さからくる悩みを消してくれると言います。
その方法は、無理に「ポジティブになろう!」「性格を変えよう!」という方法ではありません。
もっとカジュアル(?)に、自己否定の波を打ち消せるというのです。
本ブログ記事では、その内容を大まかに紹介させていただきます。
自己肯定感の低さは「メンタルノイズ」が原因
人間の脳の中では、「無意識」-「潜在意識」-「意識」の3種類があると言います。
「意識」というのは、自分が普段自覚している思考や判断のことです。
「無意識」とは、意識以外の、考えたり判断しないでもやっていること。
そして、「潜在意識」は無意識と意識の中間にあるもの。
生まれてからの記憶が保管されている場所です。
幼少期の体験が教訓となって「潜在意識」に深く刻み込まれ、今の自分の精神・思考に影響を与えているのです。
その影響は、時に「思い込み」となって、自分が見えている世界にバイアスをかけてしまいます。
この「バイアス」が「メンタルノイズ」。
例えば、幼少の頃に両親から「言われたことは完璧にできなきゃダメ」と叩き込まれたとします。
そして、「完璧でないといけない」というメンタルノイズが出来上がります。
このノイズにより、どんな事もちゃんとできないと自分が許せなくなり、他人にも完璧を求めるようになります。
いつしか、「完璧主義からくる生きづらさ」を感じていきます。
これが、メンタルノイズからくる生きづらさ・息苦しさです。
メンタルノイズは、誰しも持っているものですが、メンタルノイズに邪魔される人・邪魔されない人がいます。
邪魔される人というのが、「自己肯定感が低い人」です。
邪魔されない人というのは、「自己肯定感が高い人」です。
「自己肯定感が高い」と、メンタルノイズが生じても動揺せず、自分の本心に従って行動できるのです。
「メンタルノイズ」の14タイプ。当てはまるものはありますか?
では、「メンタルノイズ」はどのようなものでしょうか。
本書では、14種のタイプがあるといいます。
下記のように表にまとめて見ました。
ノイズ名称 | 悩み | 原因(幼少期) | 対処の一歩目 |
ダメ出しノイズ | 自信がない
自分にはできないと思ってしまう |
ダメ出しを繰り返される環境で育った | 自分にダメ出ししていることに気づいたら、やめる |
ありのままの自分封印ノイズ | つい人と比べて凹んでしまう | いつも誰かの理想を押し付けられていた | 1人でいいので、ありのままの自分を出せる人を見つける |
思考停止ノイズ | 自分で決めるのが苦手
決断力がない |
親や周りの人がなんでも決めてくれた | どんな情報もいったん疑う
ちょっとイヤな奴になってみる |
他人ファーストノイズ | 言いたい事が言えない | 家族に気を遣うことが多かった | イヤだなと思うことを少しずつやめてみる |
謙虚謙遜ノイズ | 認めてもらえない
評価されない |
良い結果でもなかなか褒めてもらえなかった | お母さんに認めてもらいたいことを考えてみる |
出ない杭ノイズ | ゴール目前で失敗する
チャンスに弱い |
少しドジったり、失敗したりしたことを喜ばれた | ペットボトルやコップの飲み物を最後まで飲み切る |
石の上にも三年ノイズ | 頑張っているのに報われない | 親や周りに「がまんするのは素晴らしいこと」と教えられた | 我慢していることを1つだけやめてみる |
他人が怖い、裏切りノイズ | 人付き合いが苦手 | 親が豹変したり、祖父母が亡くなったりなど、突然傷ついた経験がある | イヤだなと思う人にあえて近づいてみる |
ちゃんとしなきゃノイズ | うまく人に頼れない
人に気を遣い過ぎて疲れる |
大家族だったり、両親が共働きだったりして、子どもらしくできなかった | 誰かに、少しだけ迷惑をかけてみる |
幸福恐怖症ノイズ | いいことが続くと怖くなる
心から安心できない |
両親が苦労していたり、いつもつらそうな顔をしていた | 親は「苦労したくて、苦労していたんだ」と考えてみる |
完璧主義ノイズ | 行動力がない
やる気が出ない |
徹底的に甘えを許さない完璧主義の親に育てられた | 完璧ではなく、「今のベスト」を目指してみる |
タイムイズマネーノイズ | 凡ミスが多くて人に迷惑をかけてしまう | 時間に厳しいせっかちな親に育てられた | ゆっくり食事をしたり、ゆっくり歯磨きしたりしてみる |
おもてなしノイズ | 人の評価が気になって仕方がない
いわゆる繊細さん |
サービス精神旺盛な家族のいる環境で育った | 自分は楽しくないけど人が喜ぶことを少しずつやめてみる |
ドMノイズ | 努力しているのに結果が出ない | 家庭や学校で「努力の大切さ」を繰り返しし得られた | 努力しているとは思わない夢中になれるものを1つ探す |
上の表の「原因(幼少期)」の部分に書いてあることは、それ自体が悪いことではありません。
メンタルノイズの原因になっている幼少期の出来事の1つ1つは、今まであなたを守ってきたものでもあります。
「今、自分の自己肯定感が低い原因は……」と、親を責めるようなことはしないでくださいね。
14のタイプのメンタルノイズ、当てはまる方は複数当てはまると思います。
この記事を書いているブログ主もそうです。。。
さて、この14種のメンタルノイズと、どう対処すればよいのでしょうか。
それは、「気づく」ことです。
ノイズをノイズと気づくこと。
それにより、自己嫌悪がループする負のスパイラルから脱出できます。
では、どうメンタルノイズに気づくのか。
自己嫌悪のループは、ループに陥っていると自分では気づかないもの。
そして、気づいた後に、どう行動したらよいのか。
この2つについて、次項で紹介していきます。
「メンタルノイズ」の対処法1・裏表思考法
まずは、「メンタルノイズ」に気がつく方法からご紹介します。
自己否定の思考が止まらない、そんな時に「なにが原因で自己否定をしているか」を見つける方法があります。
それが、「裏表思考法」です。
やり方には、7つのルールがあります。
1.まず、うまくいかない事や悩みを書き出します。
2.次に、うまくいかない事ができたときのデメリットを書き出します。
3.次に、うまくいかない事がうまくいかないままのメリットを書き出します。
4.1~3の手順の時に、実際に紙やノート、スマホやパソコンに「書き出す・入力する」こと。
頭に思い浮かべるだけではだめ。
5.2~3の手順の時に、思い浮かんだものは、片っ端から書きだすこと。
常識や倫理を無視して、正直に思いついたことを書き出すこと。
6.2~3の手順の時に、最低6個以上、書き出すこと。
同じ言葉が浮かんでくる時は、浮かんだ数ほど、その言葉を書き出すこと。
**ここまでで書き出したものは、あなたの潜在意識にある本音・本心です。
このうちのどれかが、あなたにブレーキをかけています。
これが、メンタルノイズの原因を把握しする方法です。
あとは、そのノイズの原因だった事象を、その原因に対する解決策を考えるなり、「なんだ、これが原因か」とスッキリするなり、「今は今のままでもいいじゃん」と気づくなり、することです。
そして、ノイズがノイズでなくなれば、自分の「こうなりたい」「こうしたい」が実現していきます。
ただし、無理に「スッキリしようとしない」でください。
胸の中がモヤモヤしているときは、モヤモヤしたままでいてください。
この場合の対処が、最後のルールとなります。
7.一度の書き出しでノイズが見つからなかった(モヤモヤしたままだった)ら、時間をおいて1から再度書き出していきましょう。
「メンタルノイズ」の対処法2・ノイキャンエクソサイズ 10選
次に、「ノイズに気づいた後に、どう行動したらよいのか」についてご紹介します。
前項の方法で、メンタルノイズの原因を突き止めても、すぐに「ノイズにサヨナラ」できることは少ないでしょう。
メンタルノイズとは、幼少期からの長い付き合いですから。
では、どうすればいいか。
それは、「ノイズをキャンセルできる体質になるためのエクササイズ」を行ってみましょう。
エクササイズは全部で10個。
出来そうなものから試してみましょう。
エクササイズ名 | 行動 | ポイント | 備考 |
STOP(やめること)リスト | 「もうやめよう」と思うことを毎日ひとつ書いてみる。 | やらされ感がなく、自分で決めて、挫折しないこと。 | いわゆる「ToDoリスト」の逆のリストを作るイメージです。 |
テレビの「ながら見」禁止 | テレビの「ながら見」をやめる。 | なんとなく映像・音声が流れていても、頭は勝手に情報をキャッチしてしまう。
情報を遮断することで、ノイズのトリガーになる情報を断つことができる。 |
SNSも同様に禁止するのも効果あり。 |
インナーチャウチャウ犬 | 悪い妄想が始まったら、「ちゃうちゃう!」と関西弁のツッコミをいれる犬を心の中で飼う。 | 別に犬でなくとも、自分にツッコミを入れてくれるものなら、イメージするのはなんでもいい。 | 自分を客観視する訓練として効果あり。 |
自分実況中継 | 自分の動作を1つ1つ言葉にしてみる。(頭の中で言葉にするのでもよい)
例)自分は今怒っている |
自分を客観視する訓練として効果あり。
まわりが見えなくなりそうなときにも冷静になれる効果あり。 |
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自分司令官 | 1つ1つの行動の前に指令を出す
例)「これから珈琲を淹れる」と言う→珈琲を実際に入れる |
自分を客観視する訓練として効果あり。
受け身にならない感覚(自分で物事を決める感覚)も養うことができる。 |
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絶好調ラベル | いいところを探してラベリングする
例)朝起きて、調子のいいところを探す→「方が軽い!」 |
不調のラベルを張る癖は簡単に抜けないので、不調と併せて好調なところを探す
例)頭が重いけど、胃腸の調子はいい |
自分の中に起こる「あ、これいいかも!」という感覚を逃がさないようにする練習になります。 |
水洗メンタル | 嫌なことがあったらトイレで流す | 実際に、嫌なことがあったら、できるだけ早くトイレへ行き、トイレットペーパーで嫌なものがついてそうな身体の部位を拭き、それをトイレに流す。 | 指を1本1本ていねいにあらっても同様の効果あり。 |
やめてみる10秒瞑想 | まず、10秒、心臓や血流を止めるイメージします。そこで、心臓や血流はやめられないことを感じます。
次に、自分の中のノイズに従うことをやめるイメージで10秒瞑想します。ノイズは消せるし、変えてもよい事を感じられれば成功です。 |
メンタルノイズは「消せるもの、変えられるもの」という感覚を得るのが目的です。 | |
オセロ式メンタル反転法 | メンタルノイズを一気に消すことは困難なので、少しずつ感覚を変えることが必要になります。
その途中、「やはりメンタルノイズは消せない」と思った時に、下記のオセロの状況をイメージします。
オセロは一手で、全ての黒を白に変えることはできません。 このことから、「オセロで、一手で黒を1個、城に変える」というイメージをしましょう。 |
一歩、一歩、歩んでいくことをオセロになぞらえてイメージしていく練習です。 | |
ぺこぱ(お笑い芸人)風セルフツッコミ | つい出てきたメンタルノイズに、全行程ツッコミを行います。
例)「私ってダメだなぁ」と口にしてしまった時、即座に「とも言い切れない!」と強くツッコミを入れましょう。 |
メンタルノイズを引き起こしたきっかけに他人がいた場合(例・SNSで充実した生活を発信しエイル人など)、その相手も自分も否定しない事。
全てのことを肯定していきましょう。 |
「メンタルノイズ」を手放して幸せになろう
「自己肯定感」とは、自分はありのままでいい、生きているだけで価値があるという感覚です。
では、「自分のありのままの姿」「自分らしさ」とはなにか?
それは、「自分で人生を生きている」ことです。
メンタルノイズをキャンセルして、それまで悩んできたことを解決するために頑張るか、「やめた!」とあきらめるか、を自分で決断すること。
頑張るのが良い事とか、あきらめるのが悪いということではありません。
「裏表思考法」でもあったように、どちらを選んでもメリット・デメリットがあるのです。
精神的にフラットな状態で、自分で判断する。
これができれば、その決断が招いた結果も受け入れられるし、次の決断をしていけるでしょう。
そして、幸せに近づいていくことができることでしょう。
おわりに
山根洋士・著『「自己肯定感低めの人」のための本』についてご紹介しました。
「自分の気持ち=自分の解釈 × 現実」
本書の中で出てくる式です。
「現実」は変えられなくても、「自分の解釈」は変えることができます。
メンタルノイズをキャンセルし、自分の解釈を正常化させて、自分の気持ち=自分の心を取り戻しましょう。
本書は、具体的な事例やイラストが用いられ、イメージが湧きやすくて分かりやすいです。
本記事の内容に興味を覚えた方は、是非、本書を手に取ってみてください。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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