今回、ご紹介する書籍はこちら!
タイトル | うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち |
著者 | 田中圭一(漫画家) |
出版社 | 角川書店 |
初版発行年月日 | 2017年1月19日 |
本書は、うつ病を患い10年の闘病生活「うつトンネル」を送った著者の振り返りと、著者と同様に「うつトンネル」をくぐりぬけてきた16名(+1名の精神科医)の話が収載されています。
「うつトンネル」から脱した方法は、ケースごとに異なっていました。
人それぞれに、その人にあった、うつ脱出方法があるのでしょう。
しかし、「うつトンネル」を抜ける方法に共通点もあります。
「うつトンネル」の中で今も苦しんでいる方へ。
「うつトンネル」を出てきた人はいます。
それは、「出口」があるという確かな証拠。
だから、焦らずゆっくりと出口へ来てほしい。
そんな願いが込められた1冊です。
「大丈夫、必ず希望は、ある」 by ロックミュージシャン・大槻ケンヂさん
本書のテイスト
本書にエピソードが収載されている17名、1人1人それぞれの、「うつトンネル」に入る前の状況と、発病のきっかけ、闘病時の状況、抜け出すきっかけとその後が、ページは短いながらも分かりやすくまとめられています。
また、随所に「うつ病あるある」として、うつ病のケースに共通してみらえる現象がまとめられ、「うつ病にありがちなケース」が認識しやすくなっています。
本書は、全編が漫画なので、「活字が読みにくい」「本を読んでも頭に入ってこない」という方にも読みやすいかと思います。
本書で紹介されている「うつトンネル」の脱出のきっかけ
本書収載の17名のエピソードに出てくる「うつトンネル」脱出のきっかけになったことを箇条書きでご紹介します。
本書では、その「脱出のきっかけ」の詳細な説明は省かれていますが、「うつトンネル脱出のきっかけ」を探されている方は、まず本書から「きっかけの取っ掛かり」を得るのもよいかと思います。
また、本書で出てきた両方の詳細に興味を持たれた方は、その療法などを扱った書籍を別に読むなどのリサーチが必要です。
・主治医からの投薬・治療法を信じて行う。通院。
・自分を好きになる
・日々の気温差を認識する
・思い切って長期休養・山登り
・森田療法
・カウンセリング
・コーチング
・モノゴトの視点を変えてみる
・過去の自分が封じ込めてきた感情を開放する
・自己愛(健康的なナルシシズム)を取り戻す
・人から必要とされる
・気分が落ち込んでくると「今は人生の自習時間」と割り切って休む
・新しいことに熱中する
・「自分の責任だと思っていること」を減らす
・脳を休ませて身体の声を聞く
・時間が薬(自分を客観視するには時間の経過も必要)
重要:「うつトンネル」脱出方法に共通してみられるポイント
本書の著者は医者ではないので、医学的な見地からの意見ではありません。
しかし、御自身と17人の「うつヌケ」体験者の取材を通して見えてきたことがあると言います。
なぜ人は、うつになるのか?
一言で表現すると、「自分が自分をきらいになるから」。
他人に気をつかうのと同じくらい、自分にも気をつかおう。
「子どもの頃の苦しい思い」を心に閉じ込めたままなのも、うつになりやすい要因の一つ。
大人になった今、子どもの頃の自分を許してあげよう。認めてあげよう。
「本当は自分を大切にしたい」のに「自分を傷つけて」しまう。
「本当は友達が欲しい」のに「孤立を選んで」しまう。
自分の「心の声」をちゃんと聞いてあげないと、人はうつになります。
うつになってしまったら、どうすればいい?
本書に収載されているエピソードでは、うつが重症化した際に「仕事をやめて休む」人と「仕事が支えになった」人と2パターンありました。
一見、相容れないパターンに見えますが、「仕事」が「自分を否定するもの」であれば遠ざかり、「自分を肯定してくれるもの」であれば近づく、というスタンスで「仕事」と付き合いましょう。
「自分を肯定してくれるもの」がない場合はどうでしょうか。
その場合は、小さな達成感を得られ『なにか』を見つけましょう。
プラモデル、山登り、同好の士との交流、ペットを飼う、などなど。
ささいなことでもいいので、「必要とされている」「役に立っている」と実感できる瞬間を持ちましょう!
深刻なうつ状態=「うつトンネル」を抜けても、時々戻ってしまう……
「うつヌケ」という書籍を出した著者も、完全に「うつ」がなくなったわけではありません。
天気や仕事で、突然うつうつとした状態に戻ることがあるのです。
これは、「うつ」は「なる」ものでなく、誰の心にも眠っているものなのでしょう。
ストレスだったり、気温・気圧差といったことで、心が弱ると「うつ」が体調に出てくるのです。
天気予報から「明日あたり来るかなぁ」……とか、
「うつ状態だけど数日たったら元に戻るし、今は楽しいことだけをやって過ごそう」……とか、
「うつ」という「妖怪」と、上手に付き合うことを考えましょう。
おわりに
田中圭一・著「うつヌケ」を御紹介させていただきました。
ブログ主もうつ病になって、はや10年ぐらい。
今は、20年務めた会社を辞めて療養中です。
「自分を肯定してくれる、かつお金を稼げる場所」を探している最中なのです。
でも、なんとか生きていますし、家族は私を必要としてくれています。
「仕事を辞めても、すぐ生きられないわけじゃない。それも選択肢の一つ」
そのことに気づくきっかけを作ってくれたのが、本書でした。
私も「うつトンネル」を抜けられるよう、精進したいと思います。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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