こんにちは。温泉は、視力が悪くて落ち着かないけど嫌いじゃない佐々井と申します。
今回、ご紹介する書籍はこちら!
タイトル | 入浴は究極の疲労回復術 |
サブタイトル | おうち時間を快適に過ごす |
著者 | 早坂 信哉(東京都市大学人間科学部 学部長・教授) |
出版社 | 山と渓谷社 |
初版発行年月日 | 2021年7月1日 |
著者は「温泉療法専門医」と名乗るほど、お風呂と心身の関係に詳しい方。
そんな著者が語る「正しい自宅での入浴法」や「自宅の風呂の楽しみ方」は必見!
健康法に「エビデンス」が求められている時代に対応した「お風呂」にまつわる1冊です!
また、健康増進や日々の生活のリフレッシュのためのお風呂の話以外にも・・・
ウィズ・コロナの時代に知っておきたい銭湯や温泉の情報も載っています。
温泉療養や介護といった視点から語られる「お風呂」の話もありますよ!
本書をオススメしたい方はこちら。
それでは、本書についてご紹介していきます。
「入浴」の健康効果は絶大!
「人生100年時代」とも言われる現代。
しかし、「健康寿命」という言葉も生まれ、「健康に生きられている期間」と「要介護状態である期間」が分かれて存在するという問題も生まれてきました。
なんとか「健康寿命」を伸ばしたいもの・・・
そこで役立てたい健康増進装置が「お風呂」!!
今まで行われてきた「健康対策」の中には「入浴」に関する項目もなく、具体的な研究もあまりされていなかった「お風呂」・・・
しかし、「毎日、湯船につかる」という習慣が、大きな健康効果を生むことがわかってきたのです!
著者があげるお風呂の利点は3つ!
・介護予防につながる
・心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを減らす
・認知症やうつ病になるリスクを減らす
著者曰く、「毎日の入浴が脂肪率を下げる」という研究結果が出てくる日も近いだろう、ということ。
では、その優秀な健康増進機器「お風呂」の効果的な入り方は、どのような入り方なのでしょうか。
次項で紹介させていただきます。
正しい入浴の仕方
本書で紹介されている「正しい、かつ安全な入浴の仕方」はどのようなものでしょうか。
1.脱衣所とリビングの温度差は5℃以内に(ヒートショック対策)
2.入浴前に給水!(せめてコップ1~2杯分の水分を取ろう)
3.脱衣所と同様に、浴室の室温にも注意!(浴槽の蓋を開けて湯を張ろう)
4.まずはかけ湯で体を慣らそう(手桶で10杯くらい)
5.お湯の温度は40℃! 額に汗をかき始めたら上がり時!
6.立ち上がる時はゆっくりと。冷たい水やモノに触れてから湯船から出る。
湯船につかる時間はトータルで10分間がいい
湯船につかる時間は、10分が好ましいとのこと。
お風呂の「温浴効果=免疫力の向上」を得るのに、適度な体温上昇には10分でよいそうです。
15分を超すと、熱中症の可能性も出てくるそうです。
また、子どもは熱さに弱く、高齢者は熱さを感じにくい・・・という事実もあるそうで、大まかにざっと「額に汗をかく」と上がり時としましょう。
食事が先? お風呂が先? それとも・・・
医学的には、食事が先の方がいいでしょう。
外出先での疲れをとるには、筋肉の疲労回復のために30分~1時間の間は安静が欲しいところです。
また、先に食事をする場合、食後に胃腸が消化するための血液が必要なため、30分~1時間開けて入浴しましょう。
「半身浴」より「全身浴」を
お風呂の健康的な効果は、下記の3点があげられます。
「温浴効果・・・体温が1℃上がれば免疫力が向上」
「浮力効果・・・水中の浮力を得て関節や筋肉の緊張がゆるんでリラックス」
「水圧効果・・・水深による水圧で全身が軽く締め付けられ、マッサージ効果となる」
「半身浴」は、身体がお湯に接する面が「全身浴」より狭かったり、浅かったりするので、効果が半減してしまいます。
心臓や肺の病気がある方は水圧に注意が必要ですので、そういう方は「半身浴」がオススメ、とのことです。
シャワーとお風呂(浴槽)、どっちがいい?
結論からいうと、本書では「お風呂」がオススメされています。
シャワーでは、体が温まりにくいからです。
本書では、「一般的な浴槽=必要湯量:200L」として、同等の湯量をシャワーで使うと「17分間」という計算がされています。
そして、「お風呂」と「シャワー」で同じ湯量を使うなら、温浴効果、血流アップ効果、リラックス効果が大きい「お風呂」がオススメという結論でした。
風邪の時など、お風呂に入らない方が良いときはどんな時?
基準はシンプルに、下記の2点が紹介されています。
・熱が37.5℃以上あるとき
・血圧が、上160、下100を超えるとき
子どもの頃、「風邪をひいたらお風呂はやめておきましょう」と言われたものですが、上記の基準で判断してよいそうです。
「自宅の風呂」の楽しみ方
「朝風呂」で身体にスイッチを入れよう
低血圧の方、朝に身体が重たいという方は、朝風呂に入って、血流を良くして身体を「活動モード」にしましょう!
「入浴剤」は効果あり!自分にあったものを選ぼう!
薬局やドラッグストアに売られているさまざまな入浴剤。
入浴剤の種類は大きく分けて7種類あります。
1.無機塩類系
粉末や顆粒の昔ながらの入浴剤。
香りによるリラックス効果、保温効果、血流改善効果と、いろいろ効果は実際にあるとのことです。
2.炭酸ガス系
浴槽に入浴剤を入れると泡が出るタイプ。今、一番の売れ筋がこのタイプだそう。
炭酸ガスは、皮膚から吸収されると、血管を広げる働きをして血流が良くなるとのこと。
3.生薬系
漢方薬や植物のエキスを取り出したりしたもの。
ポピュラーなのは「ゆず湯」や「よもぎ湯」といったところ。
4.酵素系
タンパク質分解酵素(パパイン、パンクレアチンなど)が配合され、古い角質を落としてくれます。
5.清涼系
無機塩類系や炭酸ガス系に清涼成分を加えたもの。主に夏用。
風呂上りが涼しくスッキリするものですが、実際には温熱効果は得られているそうです。
6.スキンケア系
保湿成分が入っているもの。
「薬用化粧品」としてカテゴリーされていることが多い。
7.温泉系
温泉成分を人工的に再現するのではなく、実際の温泉成分を抽出したもの。
代表的なものに「湯の花」があります。
入浴剤を買わなくても身近なもので「●●湯」を楽しもう
前項で紹介した市販の入浴剤以外にも、お風呂に入れて楽しめるものが多くあります。
具体的には、日本に「季節湯」という文化があります。
各月ごとに、浴槽に入れるものが変わっていきます。ざっとご紹介します。
月 | 湯の名前 | 浴槽に入れるもの | 効果 |
1月 | 松湯 | 松の葉 | 殺菌・浄化・鎮痛・血行促進 |
2月 | 大根湯 | 大根の葉 | 保温効果 |
3月 | よもぎ湯 | よもぎの若葉 | 美肌効果 |
4月 | 桜湯 | 桜の樹皮 | 炎症を抑える |
5月 | 菖蒲(ショウブ)湯 | サトイモ科の菖蒲の葉や根茎 | 疲労回復・リラックス・血行促進 |
6月 | どくだみ湯 | どくだみの葉や茎 | 皮膚再生効果・殺菌作用 |
7月 | 桃湯 | 桃の葉を乾燥させたもの | 肌や粘膜を引き締める・日焼け・虫刺され |
8月 | 薄荷(ハッカ)湯 | 薄荷(ペパーミント)の葉 | 清涼感・体を温める作用 |
9月 | 菊湯 | 菊の花や葉 | 血行促進・老廃物の代謝 |
10月 | 生姜(ショウガ)湯 | スライスした生姜 | 体の汚れが落ちやすくなる |
11月 | みかん湯 | みかんの皮 | リラックス効果・血流改善・湯の中の塩素を中和 |
12月 | 柚子(ゆず)湯 | 柚子の実 | 保湿効果・保温効果 |
当ブログでも、過去の記事で手軽な入浴剤について紹介したことがあります。
よろしければ、そちらも読んでいただければ嬉しいです。
香りによるリラックス効果「アロマオイル」を活用しよう
ハーブなどのアロマオイル(精油)も、浴室内で使用するのも良いでしょう。
ただし、アロマオイルは非常に濃いので、直接肌に触れると皮膚を荒らしてしまうことがあります。
そこで、湯船にアロマオイルを直接入れず、洗面器に湯を張ってアロマオイルを2~3滴たらすのが簡単でオススメです!
アロマの種類によって、香りによる効能が異なるのも楽しいところ。
ラベンダーのリラックス系、柑橘系のリフレッシュ系、ヒノキやユーカリの森林浴系などなど。
いろいろ試して、自分に合った香りを見つけるのも楽しいものですね。
「音」にもこだわって楽しもう
お風呂の中で、スマホやタブレットで動画やSNSのチェックなどをする方もいらっしゃるかと思います。
それもよいのですが、こうした行為は脳が興奮し、お風呂の「リラックス効果」が得られません。
そこで、お風呂の中ではスマホから「ゆったりBGM」や「ラジオ」、あるいは「自然環境音」を流してみてはどうでしょうか。
特に、川のせせらぎや露天温泉の音などの「自然環境音」はオススメです。
自宅のお風呂で、ヒノキのアロマオイルと、温泉名所の環境音の音源を流して目を閉じると・・・・・・ちょっとした非日常的な空間の出来上がりです。
ウィズコロナ時代も「温泉」「銭湯」は安全
感染症対策が必要となった今日。
温泉や銭湯と言った公衆浴場は、いろいろな人が出入りします。
このため、「感染症が気になる」「感染が心配」といった声があろうと思います。
これに対する著者の見解は、こちら。
1.温泉や銭湯は、定期的な保健所の立ち入り検査がもともと行われている。
2.「レジオネラ菌」といった感染症対策として掃除が徹底されている。
3.お湯や水は、すべて塩素殺菌が行われている。
4.湿気・湯気があるところは飛沫が遠くへ飛びにくい。
5.温泉・銭湯は、湯気を逃がすために換気設備が整っている。
上記を踏まえ、
・使ったカランやシャワーをお湯で流したり
・静かに入浴する
・脱衣所では早めにマスクをつける
といったマナーを身に着ければ、ウィズコロナの時代にも温泉・銭湯を安心して利用していけるでしょう。
「温泉」の選び方
温泉施設に行ったとき、「温泉分析書」というものが脱衣所などに掲示されています。
また、ホームページで記載されていたりします。
温泉へ「体を休める・療養する」目的で行くのか、「身体は丈夫なので湯を楽しむ」目的で行くのか、によって、行く温泉を「温泉分析書」から決めるのも良いのかもしれません。
下記のような感じで決めるのがオススメだそうで、表にしてみました。
・「体を休めたい」=刺激がマイルドな温泉
・「体力的には問題ない状態」=刺激を感じる温泉
泉質 | 体を休めたい
(身体のストレス耐性・弱) |
体は丈夫で湯を楽しみたい
(身体のストレス耐性・強) |
温泉の成分の濃さ | 「等張性」 | 「低張性」「高張性」 |
pH(ペーハー)値 | 「弱酸性」「中性」「弱アルカリ性」 | 「酸性」「アルカリ性」 |
源泉の温度 | 温泉(34℃~41℃) | 冷鉱泉(25℃未満)、低温泉(25℃~33℃)、高温泉(42℃以上) |
おわりに
「入浴は究極の疲労回復術」について、ざっとご紹介させていただきました。
いかがだったでしょうか。
本書には、「銭湯とスーパー銭湯の違い」や「リモートワークの生活のオン・オフの切り替えに入浴が有効」などのいろいろな情報が大盛です。
著者のお風呂愛が感じられる1冊になっています。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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