熱しやすく冷めやすい性格の佐々井です。こんにちは。
今回、御紹介する書籍は、作業療法士の菅原洋平さん著・「やめられない!ぐらいスゴイ続ける技術」です。
「●●を続けられない・・・」という悩みに、「脳の仕組み」からアプローチする本書。
根性論や精神論ではない「続ける技術」、必見です!
本書をオススメしたい方はこちら。
それでは、御紹介していきます。
「続けられないことを続けたい」に変える5つの段階
「勉強が続かない!」
「筋トレが続かない!!」
「インターネットサーフィンがやめられない!」
こういったお悩み、よくお聞きすることがあります。
このような悩みは、「脳と体がかみ合っていないから」と著者は断じます。
では「続けられないコトを続けるようにしたい」場合、どうしたらいいか?
これは5段階に分けて対処する必要があります。
「やめなきゃいけない」と思うのにやめられないことがある→「やめられない」をやめる
夜遅くまでゲームするのが止まらない。寝ないといけないのに・・・
ダイエットしたいけど、だらだら間食をしてしまう・・・
このような場合、「自分が決めて続けている」のではなく、「脳に続けさせられている」のです。
ここをまず第一に対処し、自分が望む行動をとれるようにしましょう。
つまり、「やめられない」を「やめる」ようにしましょう。
やめられるけど、主体的になれない→自発的にやる動機を作る
別にやりたくてやってるわけじゃない!
どうせ、俺がやればいいんだろ!
このような考え方は、いわゆる「仕方なくやる」というスタンスですね。
「仕方なくやる」スタンスだと、必然的に、失敗した時の理由や、そのことを続けられない理由を他人のせいにしてしまいがち。
脳には、「やる気に関係する内側前頭前野」という部位があり、自分が行動を決めると、その部位が活発に働き、逆に人が行動を決めると部位の働きは著しく低下します。
「途中で折れない心」は、脳の中では「自分で行動を決めること」で作られる仕組みになっているのです。
受動的ではなく、能動的な考え方に変えていきましょう。
やめられるし、自発的だけど続かない→行動を習慣にする
三日坊主なんだよね
自分は飽き性でね。根気がないんだ
いわゆる「続かない人」です。
脳は、「大脳基底核」という部位で、行動をパターン化しています。
これは、行動をパターン化することで判断回数を減らし、脳のエネルギー消費を節約する目的なのですが、この「パターン化」が曲者。
なにかに取り組もうと思う前の「今までのパターン」を、うまく「今後のパターン」に書き換えられないと、「続かない」原因となります。
逆に言うと、「パターン」の設定がうまく出来さえすれば、脳は新しい行動を続けていきます。
そして、この「パターン」は「習慣」とも言い換えられることです。
ある程度続けられるが、途切れてしまう→続けるようにする
しばらくは、やってたんだけどね
道具は揃えたけど、そこで止まっちゃって
行動パターンをうまく設定できたものの、別の行動やイベントが間に挟まったきっかけで、行動が継続できなくなることがあります。
これに対する対処方法としては、習慣化させていた行動を「やらないと気持ちが悪い」ところまで脳に落とし込んでおくことです。
具体的には、「大脳」の「前頭葉」ではなく、「頭頂葉」の働きを意識することです。
「やらないと気持ちが悪い」は、根性論ではなく、科学的にも言えることだそうです。
続けているけど結果が出ない→成果を出す
続けてるのは続けてるけど、なにか役に立ったってことはない
いわゆる「下手の横好き」なだけだよ
私たちにとって、「ある行動」を続ける目的は、「行動を続ける」ことではなく、「なにかの結果」を求めているわけです。
例えば、「筋トレ」を続ける目的は、「筋トレを続ける日々を送る」ことではなく、「鍛え抜いた身体にする」や「ダイエットに成功する」、「筋力を上げて身体能力を上げる」ことだったりします。
脳は、限られた処理能力の中で、自分の設定したゴールを目指します。
しかし、日々の生活の中で起こるいろいろなイベントの対応に、その処理能力がオーバーしてしまうことがあります。
すると、脳は、その行動を続けるのにいっぱいいっぱいになってしまい、「成果を出す」という次のステップに進むことができなくなります。
この問題に対しては、脳に備えられている「処理データの容量圧縮能力=『チャンク』」を使えるようことで、脳の処理能力をオーバーさせず、「成果」をいかに出すかを考えていけるようにします。
それでは、この5つの段階に、どう具体的に対処すればよいのでしょうか?
「やめたいことをやめよう!」ドーパミンに乗っ取られた脳を取り戻せ!
薬物、アルコール、ギャンブル、ショッピング、ゲーム・・・・・・
いろいろ「依存症」と言われるものがありますが、一番の怖さは、本人がその行動をしているときに、自分がしていることに気づかないことです。
また、「依存症」までいかないまでも、「やりだしたら、とまらない」ということは多々あります。
この「依存」の原因物質は「ドーパミン」という神経伝達物質です。
よく、ご褒美をエサに行動を起こさせることを「馬の目の前にニンジンをぶら下げて走らせる」と例えます。
この「ニンジン」を「ニンジン=おいしいご褒美」と認識する働きをするのが「ドーパミン」です。
一度、期待以上のご褒美がもらえたら、それ以降、ひたすら「期待→行動→期待→行動」と繰り返すのが「ドーパミン」の働きです。
そして、「満足したから終わろう」ということがありません。
ドーパミンは絶えず脳のエネルギーを消費するため、慢性的な疲労の原因にもなります。
では、どうしたらドーパミンをコントロールできるのか?
具体的には、どうしたら「やめたいときに切り上げられるようになる」か?
方法は6つあります。
・やめたい事の魅力を話題にして共有する。
・細部を観察することが必要な作業をする。例えば、アイロンがけをする。
・準備して丁寧に行う。例えば、お菓子は全て皿に出して食べる。
・選択肢を減らす。例えば、着ない服を処分し、着る服の選択肢を少なくします。
・時間間隔を鍛える。作業などの見込み時間をたてて、作業後に確認する。
・ドーパミンが切れたイメージを言葉にする。例えば「風船がぷしゅーっとしぼむイメージ」をもつ。
いずれも、「期待以上の報酬を期待する→行動する」のサイクルを断ち切る狙いです。
「報酬は期待以上のものは出ない」「自分の注意を他のものにそらす」ことを意識するのです。
脳は「やらされ仕事」は続けられない!自分で物事を決めよう!
この項のタイトルのとおりですが、「やらされ仕事」の感覚だと、なにも長続きはしません。
自分の●●のため!と「自発的にやる仕事」だと、長続きします。
そして、この「自発的」になるのを阻害する要因を「アパシー」といいます。
では、アパシーになる要因は何か?
1.自分で選ぶことができなくなること
2.自分から行動することができなくなること
この2つです。
人生、なんでも受け身になるとネガティブになってしまうようです。
このアパシーを乗り越え、「自分で決める」ようになる方法が9つ、本書では紹介されています。
1.決断ごとは、朝イチすぐにイキナリ決める。例えばネットショッピング。
2.朝日記を書く。前日の記憶が整理された状態の日記が書けるため、能動的な日記が書ける。
3.外食の時、注文を10秒で決める。
4.着る服の色を限定する
5.好きなものを先に食べる、または後に食べる
6.月に1日だけでも22時前に就寝する
7.歯みがきをいつもと反対側からする
8.メンターをつくらない
9.好きなことについていっぱいしゃべる
ここで原動力になるのは、自分の「好奇心」「好み」「チャレンジ精神」といった「自分の心」です。
自信なんて、なくていいんです。
また、「自分で選びぬけなかった」としても「後付けで、自分で選んだことにする」のでもいいのです。
「失敗」してもいいんです。
「自分で選んだこと」は、ただの「失敗」ではなく、成功までの「過程」と捉えられるようになるのですから。
体が勝手に動き出す環境をつくろう!
本書でいう「やめられないぐらい行動が続く=体が動く」には、意欲は関係ありません。
意欲のありなしにかかわらず、体が勝手に「続ける」には、4つの脳の機能を使います。
場所
脳は、「場所と行為」をセットで記憶します。
つまり、「勉強机は勉強をする」こととすると、本当に、勉強机では勉強しかしないようにします。
そして、目に入ってくる光景を極力変えないことです。
先ほどの例えで行くと、「勉強机で勉強する」以外に脳のエネルギーを消耗しないよう、机の上などの風景は変えないでおく事です。
時間
人間には、様々な周期があり、よく知られているのは「体内時計=24時間」です。
習慣化する際に注目する生体周期は、「3.5日≒4日」→「14日=2週間」→「1か月」という周期です。
これは、「4日続ける」を意識して行動し、4日継続できれば、「2週間続ける」を意識、次は「1カ月続ける」・・・というものです。
なお、毎日続けないとダメ!というわけでもなく、それぞれの周期の「過半数」の日を行えば、「習慣化」できたのではないか、と言えます。
「1カ月間の継続を達成」した、次の「1カ月」は、その「実際の実施日」を維持、もしくは増やすことを心がけてください。
また、「プラトー」という「一定期間は成長するが、ある程度成長したら、成長が感じられなくなる」という時期があります。
この「プラトー」の間に、「成果が出ない」とあきらめる人もいます。
しかし、「プラトー」の間も、わずかでもパフォーマンスは向上し続けています。
これは、日々の行動を数値や日誌で記録していると認識しやすいでしょう。
ぜひ、「プラトー」の帰還を乗り越えて継続するようにしましょう。
動作
・姿勢を正しましょう。
正しくない姿勢はエネルギーを無駄に消費し、「継続したい行動」に向けるエネルギーが減ってしまいます。
・1連の動作は、全ての動作が完結するまでやってみましょう。1つの動作・作業にこだわって1連の動作をしないと、途中で面倒になったり、疲れてしまうことがあります。
・イメージトレーニングをしましょう。(メンタルプラクティスともいいます)
イメージトレーニングでも、その動作に必要な部位は、動かしていなくても活性化します。
・道具の置き場所を固定する。
「姿勢」と同じく、無駄な消費エネルギーを生じさせないため、所定の動作を定型化しましょう。
言葉
・動作とその結果は、動作前に脳は予測しています。
(例・自分で脇をくすぐっても、くすぐったくない)
これを逆手に取り、望ましい結果を言葉に(口に)して、脳に「望ましい結果となるよう動く」よう命令を身体に出してもらいましょう。
例えば、リハビリで「手のひらをひっくり返す」ことを練習中の場合、「事故にあったので、できない」という、あやふやな予測を感じている患者さんに対し、「手のひらがひっくり返る」と言いながら動作をしてもらうと、成功することがあるそうです。
また、回数などを具体的に設定するのも良いそうです。「具体的な動き・回数+結果」をどんどんつぶやきましょう。
・「●●しなきゃ」ではなく「●●する」といいましょう。繰り返しになりますが、「やらされ仕事」の考えはやめよう、ということですね。
途中でくじけても、続け続けよう!
季節や生活環境の変化により、以前は続けていたのに、気づけばパッタリやめていた、ということがあります。
こういう時は、体に変化が起きていますが、それに気づいていないことが原因です。
これに対しては、記録をつけるのが良いです。
まず、自分の体調が悪くなった時に取る行動を知りましょう。
(例・無意識に栄養ドリンクを飲んでいる)
また、睡眠や血圧などの生理現象も重要なキーワードです。
行動・生理現象を「見える化」することで、「続けることを続ける」ための改善点が見えてきます。
また、体の変化は現実(感じるのは「頭頂葉」という部位)、やる気はヴァーチャル(同・前頭葉)です。
例えば、「冬場に寒いので皿洗いのやる気が出ない」というケース。
「寒い」「実はあかぎれで指が痛い」というのが、今の「現実」です。
対して、「やる気が出ない」というのは、先ほどの「寒い」「痛い」を感じて、脳の前頭葉が作り出した「気持ち=ヴァーチャル」です。
この「現実」と「ヴァーチャル」の2つがある、ということを認識することだけでも、行動が変わってくるでしょう。
続け続けて成果を上げよう!
ここまで紹介してきたテクニックで「続けることができている」とします。
そうすると、次に「成果」が欲しくなりますね!
毎日の行動から、「成果を上げる」にステップアップするためのテクニックも、本書には紹介されています。
上位のカテゴリーを見つけて、まとめて考える
どんなことも、「この作業は、●●のカテゴリーに含まれる。よって●●の役に立つ」と、まず考えます。
次に「●●のカテゴリーは、■■と▲▲の作業も一緒だな」とカテゴライズして、まとめて取り組んでいきます。
このカテゴライズを「チャンク」といい、この「チャンク」を記憶することで、効率的に運用することを「チャンキング」と言います。
今より先のステップを考えてから、今を「振り返る」形で考える。そして言葉にする
例えば、「今日のプレゼンテーションは、1週間後の大きなプレゼンの練習だ!」のような感覚です。
こうすることで、今日と1週間後の2つのプレゼンが1つのチャンクになり、経験の蓄積や反映などが効率的になります。
そして、そのことを(こっそり)言葉にしましょう。
(今日のプレゼンも、1週間後のプレゼンも「本番」には変わりないのですから)
脳は、言葉によって、出来事が自分なりの解釈をもって記憶されていきます。
このさい、自分の中に起こった感情を丁寧に追っていきましょう。
そして、時系列順に感情の変化も整理するのです。
整理・分析した記憶を積み重ね、前進していきましょう。
ゴールや2つ先の目標から逆算して手順を考える
大局的な視点に立って、物事を考えるのも重要ということです。
「続けること」のスタートからゴールの一連の流れを認識し、現在地点を把握すれば「自分は今、これをやっている感」が湧いてきます。
これをすることで、「続けること」が「惰性的」とか「やらされ感」といったものが湧いてくるのを防ぐことができます。
「成果を上げる」ための、具体的な実践方法
・作業で使用するファイルの名前に「Vol.1」「Vol.2」・・・や「Ver.1」「Ver.2」・・・とナンバーをつける。
・今、自分が使っている能力を学校教科に当てはめてみる。使用中の能力をカテゴライズすることで、使用していない能力はないか?などの分析に役に立ちます。
・だらだらしてしまったら、その時間数を「継続すること」に使用した時間に置き換えてみる。反省のため、というより「作業に必要な時間の算出=チャンクの把握の練習」になります。
・自分を主人公にしたドキュメンタリーだと思う。実際に起こった「失敗」や「挫折」が、「結果」ではなく「過程」に位置づけ換えることができます。
・声を出しながら考える。声に出すことで、悩みが言語化され、脳内のチャンクを検索しやすい=脳にある情報を引き出しやすくなります。
おわりに
「やめられない!ぐらいスゴイ続ける技術」を紹介してきました。
いかがだったでしょうか。
本記事では紹介しきれなかった、行動に関係ある神経物質についての詳しい説明や、脳のメカニズムは、ぜひ本書を手に取って読んでいただきたいと思います。
「性格だから」「根性がないから」とあきらめていたこと、本書を読むことで「あきらめる理論」を知ってから、再チャレンジしてみませんか?
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
コメント