今回、ご紹介する書籍はこちら!
タイトル | 昼スナックママが教える45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気 |
著者 | 木下紫乃(中高年世代のキャリア支援事業会社CEO/「スナックひきだし」ママ) |
出版社 | 日経BP |
初版発行年月日 | 2020年11月24日 |
「スナック」というお酒を提供するお店のママ(マスター)である木下紫乃さん……通称・紫乃ママ。
通常は夜に開店する「スナック」という業態ですが、中高年の駆け込み寺チックなお店として、昼に開店するスナックを営業されています。
20代、30代を駆け抜けてきて、いささかお疲れの、または、人生を振り返る時期の40代、50代。
その中高年世代の悩みを聞き、じっくりバッサリ答えてくれる紫乃ママのスナックが、紙上開店したかのような本です。
キャリアや家庭で悩みの有る方、このスナックのドアを開いて見てはどうでしょうか。
本書の収載内容・テイスト
この本は、いわゆる「スナックのママの波瀾万丈記」や「スナック業界の裏側話」というものではなく、れっきとしたビジネス書です。
(転職を繰り返し、3度の結婚、、、という経歴の著者は、波瀾万丈記も書けるのでしょうけど)
10名の来店客が抱える個々の会社や家庭での、ミドル世代ならではの悩みを紫乃ママ流に解決・分析していく、というものです。
構成としては、1人のお客さんが来店→紫乃ママとの会話形式で、悩みの開陳・解決策の提示・解決策を提示された側の感想、というのが1セット。
そして、この1セットの後に、会話で出てきた解決策の詳しい解説とまとめがあります。
これが9つ(2人の客が1度に来るケースが1話あるため9つ)収載されています。
本書で解決を試みる悩みのベクトルを大まかに紹介すると、下記のとおりとなります。
・会社を辞めたことを悩んでいる、モヤモヤしている人
・会社に「報われない片思い」をする人
・会社で頑張っても自分は報われない、自分なんて価値がないと思っている人
・会社に入社してきた若い人が優秀で、自分と比較するとツライ人
・会社に理不尽にフラれた(リストラなど)人
上記のお悩み解決への処方箋と別に、「もうひと花咲かせるためのワークシート」というのも載っています。
スナックのママ以外に、キャリア研修の講師もしている紫乃ママ。
その講師として研修会で実際に、研修生にやってもらっているというワークです。
「自分には会社の中での肩書しかない」と思い込んでいる人に、新たな世界を垣間見せるワークだな、と感じるものでした。
複数名(3人程度)で行うワークなので、半ば引きこもりぎみのブログ主は、すぐに取り組めそうにない……とも思いましたが、そのワークの内容と意図することを読んでみるだけでもいいな、とも思いました。
「やりたくないこと」をやめる勇気、とは
さて、本書のタイトルにもなっている「『やりたくないこと』をやめる勇気」についての収録エピソードを簡単に紹介させていただきます。
大手企業に就職、ゼロから立ち上げたプロジェクトに3年間たずさわり、育て上げていた矢先、まったく関係のない子会社へ出向した50代・既婚の女性。
出向後に「外様」扱いされて心が折れた女性は、紫乃ママの一言をきっかけに思い切って退職。
退職から1年後、別分野に転職した……という説明があり、その女性がスナックへ来店するところから話が始まります。
まずは、1年前の退職時の話を振り返ります。
前職の企業で外様扱いにされ、勤めていることにモヤモヤしていたお客さんに紫乃ママが「今やってること以外に、やりたいことはないの?」と聞かれ、「特にない」と答えるお客さん。
「やりたいことがなかったら、とりあえずやりたくないことをやめてみるのもいいんじゃない?」
この紫乃ママの一言で、お客さんがやりたくないこと=モヤモヤしている原因を内省し、「一番やりたくないことは、このまま会社にいることだ」と気づきます。
その後、すっぱり会社を辞め、別ジャンルの企業への転職が、意外にトントンと決まったとのこと。
「安定」、「ポジション」……
一見、大企業に勤めている正社員は「恵まれている環境」に見えますが、「恵まれているように見える中での地獄」もあるそうです。
「飼い殺し」「窓際族」「白眼視されている環境」……
40代、50代になって、「やりたくない」「得意じゃない」とすでに分かり切っていることを、それでも惰性で続けていないでしょうか。
生理的に「いやだ」と思ったことから切っていく勇気が、40代、50代には必要なのかもしれません。
過去に積み上げてきた労力(サンクコスト)を考えるのも重要ですが、一番大切な「今」という時間、そして「これから」の時間を損しないようにするのはどうすればいいか?も重要です。
「自分がやらなかったら周りが困る」というのは思い込み。
「やりたくないこと」を続けることで他人に貢献するのは大事かもしれませんが、自分の体や心の声も無視しないようにしましょう。
「やりたくないこと」はやめて、「やりたいこと」で誰かに貢献するフェイズにチェンジしましょう。
おわりに
木下紫乃・著『昼スナックママが教える45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』をご紹介してきました。
「やりたくないことをやめる勇気」について以外にも、
「転職は『一度切り』と意気込まないでいい」、
「ライスワーク・ライフワーク・ライクワーク(収入を得る場・すぐに収入にならなくても興味があることをやる場・お金にならなくてもいい好きなことをやる場)の3つの場を持とう」、
「イベントの『参加者』ではなく、『主催者(ギバー)』になろう」、
といった話がもりだくさん。
お客さんと紫乃ママとの会話形式で話が進んでいきますので、あたかも紫乃ママが自分に語りかけてくるような感覚にもなり、話がスッと頭の中に入ってきます。
写真は全くと言って良いほど使用されていないので、紫乃ママのキャラクターが押し売りされている感覚もありません。
若い世代には「スナック」というお店に馴染みはないかもしれませんが、バーやカフェのマスターが人生相談に乗ってくれるような感覚になれる1冊です。
ぜひとも、手に取る機会がありましたら読んでみてください。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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