(書籍紹介)逃げる勇気【崇史】

書籍紹介

佐々井です。

 

今回、御紹介する書籍は、崇史(そう・ちかし)さん著・「逃げる勇気」です。

こちらは、サラリーマンの方向けの1冊となっております。

最近は「逃げる」という行為について、「選択肢の1つ」と認識され始めていると思いますが、いざ「逃げる」には勇気がいるかもしれません。

その「逃げる勇気」と「逃げる技術・逃げない一線」について解説されたのが本書です。

それでは、紹介させていただきます。

 

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本書の「逃げる」の定義

本書で述べられる「逃げる」は、与えられた責任を放棄するような消極的な「逃げる」ということではありません。

 

この本で「逃げる」は、下記3点を目指した行動のことです。

「自分の才能の発揮」のために、自分にとって優先順位の高い仕事に集中する

才能の発揮を邪魔するものから身を遠ざけて距離を取り、悪い影響を排除する

仕事を削り、人に仕事を任せて「自分の才能」を伸ばすための投資をする

 

うまく「逃げられない人」の特徴

前項の「逃げる」の説明から、「逃げられていない」というのは、「自分の才能を発揮できず、周囲の悪い影響を受け、自分の能力を上げることができないため、評価も落ちる」ということになります。

その「うまく逃げられない人」には、下記7点の特徴があります

自分が該当してないか、チェックしてみましょう。

 

1.「NO」と言えない、頼まれると断れない

2.優先順位をつけられない

3.自分の本来の役割と周囲の期待を理解していない

4.自分の時間を、自分でデザイン(計画)していない

5.発生した仕事に受け身・後手で対応している

6.良い仕事・完璧な仕事を目指しすぎる

7.大事なことほど一人でやろうとする

 

どうでしょうか。私は何点も該当します・・・

 

逃げるための考え方

では、「うまく逃げられない人」から「うまく逃げる人」になるには、どうしたらいいのでしょうか。

まずは、「逃げるために持つ概念・考え方」を7点紹介します。

 

1.<義務>と<責任>から逃げる

=過剰な「●●しなければならない」というような思い込みで、心身をガチガチに緊張させない

 

2.<いい子>と<良い人>でいることから逃げる

=自分の行動の判断基準を「他人目線」ではなく、「自分目線」にする

<いい子>と<良い人>をやめても、人を裏切ることにはならない

 

3.<失敗しない>から逃げる

=「失敗しない」=「成長しない」こと。小さな失敗を数多くして成長しよう

失敗を恐れて行動しない(過剰な安全志向)より、小さな失敗をして成長しよう

 

4.<待つこと>から逃げる

=「危険」を感じたら先手を打って逃げよう。

多少、オカルト的に感じるかもしれませんが、仕事で「すごく面倒」「地雷的」な仕事を振られそうな予感がする、などを感じたことはありませんか?

その予感は、いわば危険察知能力なので、危険を察知したら逃げの先手を打っておきましょう。

具体的には「いったん、その場を離れる」「手間のかかる仕事予定を先に入れておく」「事前に自分のスケジュールを話しておく」という手があります。

 

5.<好きで得意な仕事>に逃げる

=自分の「好きな仕事のスタイル」を探し、確立し、そのスタイルで仕事をすれば、ストレスから逃げることができます

 

6.<人>に逃げる

=これは「人に仕事を押し付ける」ではありません。

自分一人で難問を抱え込まず、信じられる人とチームを組み、役割分担しよう、ということです。

 

7.<過去>から逃げる

=過去に起きた失敗を引きずらない、ということです。

「過去のことは、もう過ぎた事」と、そのことを自分の心の中で終わらせてあげましょう

 

実際に逃げる技術

ここまで、「逃げられない人の特徴・7点」と「逃げるための考え方・7点」を紹介しました。

それでは、実際に「逃げる」際のテクニック的なことを紹介していきます。

大まかに言うと、3点あります。

 

1.避けたい仕事から逃げる技術

人から頼まれた仕事を、受ける・受けないを判断する技術です。

判断基準は6つあります。

 

1.自分に時間の余裕があるかないか

2.自分にとって簡単な部類のことか、難しい部類のことか

3.自分の知識や能力の向上につながるか、つながらないか

4.それが片付くと自分や自分の部署の仕事に良い影響があるか、ないか

5.過去にお世話になった(助けられた)人かどうか

6.自分以外に依頼者が頼める人がいるかどうか

 

この6点を判断基準として、依頼された事案を検討します。

断る場合は、下記の点を気をつけましょう

状況に応じて、使い分けていきましょう。

 

●丁寧に断ること

●ハッキリ「できない」と断ること

●いきなり「できません」と断らず、まず「できればお役に立ちたい」とプラスの気持ちを伝える

●自分を頼りにしてくれたことに感謝を伝える

●相手の大変さを認識し、心配していることを伝える

●プラスの気持ちの後に「できない理由」を伝える

●「できない理由」を説明する際、「ほかに重要な件があって・・・」というニュアンスを出さない

●「できない理由」である仕事の「名前、期日、依頼者の名前」をハッキリ伝える

●自分の仕事が差し迫った状態にあることを伝える

●自分が仕事受をけた際のデメリットをが生じる可能性を客観的に伝える

●自分が「自分の意志で、自由に動くことが難しい状況」にあることを伝える

●理不尽で非合理的な頼みの場合、「上司から断ってもらう」こともする

2.面倒な仕事を押し付ける技術

この項の前提として「引き受けることが気持ちの良いことなら、人の頼みを聞いてくれる」ということがあります。

では、人に気持ちよく仕事を引き受けてもらうには、どうしたらよいのでしょうか。

下記の点を意識して、お願いしましょう。

 

相手が頼みを聞いてくれる雰囲気を作りだす

仕事を頼む相手に「この人は敵でない」「この人は自分ををリスペクト」していると感じさせる。

 

「どうして、あなたにやって欲しいか」を伝える

仕事を頼む相手の「能力をほめる」「頼む仕事をすることのメリットを伝える」「仕事をすることで評価される可能性を伝える」

 

「やってくれると、どう助かるか、何がありがたいか」を伝える

「自分の困っている現状を素直にわかりやすく伝える」「相手が自分よりうまくできる部分があり、そこを頼りにしていることを伝える」

 

「何を、どの範囲、どのレベルでやって欲しいか」を具体的に伝える

 

相手が引き受けてくれた場合、心から感謝を伝える

 

3.仕事を適当に済ませる技術

突然ですが、仕事には次の3つの品質があります。

 

不足品質=仕事の出来が不足している状態。不良品。

過剰品質=仕事の出来が、求められているレベル以上のものになっている状態。

適正品質=仕事の出来が、求められているレベルにピッタリの状態。

 

「仕事を適当にする」ことは、「適正品質の仕事をする」ということです。

では、適正品質のレベルで仕事をするには、どういうことを気をつけたらいいでしょうか。

以下の5点があります。紹介していきましょう

 

ゴールのレベルを下げてみる

仕事のゴールのレベル(仕事の目的・品質・期日)を確認し、求められているものが細かく指定されてない場合や、あいまいな場合は、自分でレベルを下げて「適正化」してしまいましょう。

 

ゴールを細切れにして小さくする

仕事のゴールを段階的に分けて設定し、小刻みにクリアすることで達成感を味わい、気持ちよく仕事をしましょう。

 

今までのやり方をやめる・変える

仕事のやり方を「効率的にする方法」があれば、そちらの手段をとってみましょう。

 

まとめてやる

仕事の中でも、同じ種類の仕事、似た仕事は「1つの仕事」として、時間的にも意識的にも一気にまとめて終わらせてしまいましょう。

 

同時並行でやる

これは、「1人でマルチタスクで頑張ろう!」というものではありません。

チームで仕事をする場合、仕事を細切れにして、分散かつ同時処理をすればゴール達成の時間短縮になります。

チームで作業する場合は、処理を振り分ける人員がいる場合、効率を考えて分散して仕事をしましょう。

 

逃げてはいけない一線

本書の副題は『「できる人」は九割を捨て、たった一割で勝負する』です。

 

「九割を捨てる」ことは、今までに紹介してきました。

では、「勝負する一割」とは、なんでしょうか!

端的に説明すると「好きで得意な分野を見つけ、その分野に集中する」ということです。

「好きで得意な仕事」=「才能」は人それぞれ。

それに、社会的には「好きで得意な仕事で稼げる」が「才能」になります。

 

じゃあ、「才能」はどう探せばいいのか?

そして、どう育て、開花させるのか?

これについてみていきましょう。

「好きで得意」な才能の見つけ方

1.<好き><得意>なことを見つける

●過去に、好きだったけど、忙しさなどで遠ざかっていたものを過去から1つずつ思いだす。

(本来好きだったことに触れると、仕事のプレッシャーで封印されていた「ワクワク」が復活する感覚があります)

 

●今までの人生経験をたどって、人よりできたこと、早くできたことを思い出す。

(小さい頃のときのことが、そのまま現在の貴方の<得意>の中核を形成している。)

 

●今、仕事をしているうえで、うまくできている、早くできていることを人に聞いてみる。

 

2.抽出できた<好き>と<得意>をマッチングさせ、重なる部分を見つける

それが「才能の種」です。

才能の種の育て方

一言で表現すると「そこに集中投資する」こと。

投資とは何か?

それは・・・・・・

 

<好きで得意>な行動を実行する

投資の1つ目は、<好きで得意>な行動を、たくさん行ってください。

 

具体的には、そのような「仕事を取りに行く」こと。

例えば、<好きで得意>な分野で、社内プロジェクトが立ち上がった際に立候補したり。

「日頃の言動を<好きで得意>な分野に寄せていくと、不思議と環境がついてくる」ということもあるそうです。

 

また、<好きで得意>な仕事がなくても、「その業界に飛び込んでみる」こともアリです。

例えば、絵が好きであれば、そのジャンルのスクールに通ってみるとか。

こういう行動から得た仲間・同志からは、いろいろな刺激をもらえますし、切磋琢磨できる等のメリットがたくさんあります。

 

是非、行動を起こしてみてはどうでしょうか。

<好きで得意>を軸にして苦手を克服する

投資の2つめは、<好きで得意>なことで苦手を克服することです。

 

「好きこそものの上手なれ」という、ことわざがあります。

「好きであってこそ、上手になれる」という意味です。

 

「苦手なものに<好き>は応用できないよ!」と思われる方もいらっしゃると思います。

著者が伝えたいことをたとえ話にすると、こうです。

 

仕事で英会話能力を向上する必要に迫られたAさんとBさん。

Aさんは英語が大嫌い。Bさんは英語が得意とは言えないが、勉強が嫌いなわけではない。

その2人が、英語留学として海外へ行くことに。

 

Aさんは、英語のテキストや教本を読む気になれず、好きなお酒を飲みに、現地の酒場に繰り出すことに。

なんだかんだで、現地の人と酒場で飲みニケーションを楽しむ日々を送ることに。

 

Bさんは、テキストや教本を基に勉強する日々。

 

留学期間終了後、Bさんも英会話能力は向上しましたが、Aさんのほうが成長が著しかったそうです。

<好きで得意>な分野を(結果的に)応用できた実例、というわけですね。

 

おわりに

著者は、本書のまとめとして

 

「仕事で花開かせるために、まず必要なのは『逃げる』こと

「『逃げる』ことで、時間・資源の余裕を作り、<好きで得意>な『才能』の種を見つけ、育てるをパワー作ること

「『才能』は、自分の持つ資源の全体の一割かもしれないが、その一割に集中投資する」

その育てた『才能』は、あなたを、あなたらしく生きるスタートラインに立たせてくれるでしょう」

 

と述べています。

 

「人生を壁を突破し、イキイキ生きるためには、時に逃げることは必要。逃げたい時は逃げよう!」

ということでしょうか。

 

書籍には、「逃げる基準のマトリクス表」や、実際の事例が多数あげられているなど、本記事で紹介しきれなかった内容が多くあります。

ぜひ、ご一読ください。

 

逃げることは、恥でもない!!

私も、肝に銘じていきたいと思いました。

 

ここまでの御高覧、ありがとうございました!

 

 

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