「一畑薬師」は、島根県出雲市にて、平安時代より「目のお薬師さま」を祀っているお寺です。
具体的には、西暦894年(寛平6年)に島根県沖の日本海から漁の最中に引き上げられた仏様(薬師瑠璃如来)を本尊とするお寺です。
この御本尊をすくいあげた漁師の母親の目の病が治ったことから「目、ひいては万病を治す健康を守ってくださる仏様」として世に知られています。
2022年9月1日に、ご縁をいただいてブログ主がお参りできたので、御紹介させていただきます。
一畑薬師ついて(御由緒・御本尊・御利益)
御由緒などについては、本ブログの冒頭で御紹介したとおりです。
本堂には、御本尊・薬師如来のそばには、日光菩薩・月光菩薩、十二神将も控え、瑠璃観世音菩薩も別棟(観音堂)に安置されています。
ご祈念は、多様なお願いができます。
パンフレットより転載させていただきます。
仏恩感謝 | 眼病平癒 | 当病平癒 |
身体健全 | 家内安全 | 心願成就 |
開運開眼 | 良縁成就 | 安産 |
二才児まいり | 四才児まいり | 十三まいり |
学業向上 | 受験合格 | 厄除 |
社運隆昌 | 商売繁昌 | 生業隆昌 |
交通安全 | 世界平和 | 万事如意 |
先祖供養 | 水子供養 | その他 |
「眼病平癒」「開運開眼」と、眼に関するお願い事があるのが、一畑薬師さんらしさなのでしょうね。
公式サイト | https://ichibata.jp/ |
住所 | 島根県出雲市小境町803 |
ジャンル | 仏閣 |
アクセス | 一畑電車「一畑口」駅から車で10分程度 |
駐車場 | あり。無料200台 |
トイレ | あり |
一畑薬師の風景
2022年9月1日、日ごろお世話になっている先輩に誘われ、一畑薬師(一畑寺)へ。
あいにくの雨天での参拝でしたが、平日・悪天候という条件のおかげ(?)か、他の参拝の方が少なく、ゆっくりとお参りできました。
大駐車場
いわゆる山寺である一畑薬師のふもとにあるバス20台・乗用車200台の「大駐車場」。
足の不自由な方の駐車場は、本堂近くの別の駐車場が山頂方面にあります。
トイレも本堂方面に進んだところにあります。
男女の表記が、いかにもお寺です。
結縁(けちえん)の道と商店街
「大駐車場」から一畑薬師に通じる道は、「けちえんの道」と呼ばれています。
「けちえん」とは、「仏様と縁を結ぶ」と言う意味の仏教用語。
この道を歩んで本堂に向かい、仏様と縁を結ばさせていただきましょう。
「けちえんの道」の両サイドには、商店街が。
「一畑」の名を冠したそば、せんべい、まんじゅうが売られています。
ご真言塔「おんころころ せんだり まとうぎ そわか」
「けちえんの道」を進んでいくと、薬師如来の御真言が刻まれた塔が立っています。
ここから、右手に進む道がお寺の参道になります。
参道と百八基灯籠
「参道」は、左手の108基の灯籠と、右手の奉納された幟に挟まれた、なだらかな道です。
整然と並ぶ灯籠と幟は、壮観……
「参道」の途中で、眼下の山並みを望めます。
この日は雨だったので、見通しはあまりよくありませんでしたが……
歩を進むと、大きな「山門」が見えてきました。
山門・本坊書院・法堂(座禅堂)
「参道」の先には、「山門・本坊書院・法堂」がドンと構えられています。
まずは、「山門」。手続き等はなにもなく中に入れます。
「山門」をくぐると、色づき始めた楓がキレイな庭園が。
正面の建物は「本坊・書院」です。
この「本坊・書院」に設けられた日本庭園を拝見するには、予約が必要です。
左手の建物は、「法堂(座禅堂)」です。
こちらの「法堂」は、座禅体験などの際に用いられます。
「法堂」の左手脇には、神社でいう末社のような祠が。
何を祀っているのでしょうか。
お寺に末社があるとは、不勉強にて知りませんでした。
仁王門と石段
「法堂」ほかを見終え、「本堂」に向かいます。
「本堂」に通じる道は、急な石階段を上ることになります。
石段を登っていくと、木々に覆われていますが、「仁王門」の姿が。
「仁王門」の門をなす左右の柱部分には、仁王様と閻魔大王様が納められていました。
また、狛犬さんが1対、「仁王門」前に座っていました。
仏閣にも狛犬がいるんですね。
「仁王門」を抜けて、さらに石段を登ると……
「本堂」ほかが立ち並ぶ一畑薬師の中核エリアにたどり着きました。
龍浄
まずは、手を浄めましょう。
そして、からだ・ことば・こころを浄めて、お参りをしましょう。
鐘楼堂
中には入れませんが、鐘が納められている楼台です。
鐘は明治24年製で、第二次世界大戦中に金属不足により政府に接収されたものの、溶鉱炉に入れようとすると急に工場が停電となるなど不思議なことが相次ぎ、結局終戦後に、一畑薬師に帰ってきたという代物。
観音堂
「本堂」に向かって右手にあるお堂は瑠璃(るり)観世音菩薩を御本尊とする「観音堂」。
瑠璃観世音菩薩さまへ合掌低頭。
また、この「観音堂」では、「お砂踏み」という儀式が行えます。
「お砂踏み」とは、中国観音霊場・四国観音霊場・九州西国観音霊場の108寺の境内のお砂が納められた、この「観音堂」内を周ることで、実際に108寺にお参りしたと等しいご利益を受けられるものです。
十六羅漢堂
「本堂」の前には、「十六羅漢(らかん)堂」が並んでいます。
「十六羅漢」とは、16人のお釈迦様から教えを乞うた高弟(修行僧)たち、と言う意味です。
遠い昔、仏教の開祖に仕えた弟子たちが、1人1人個性的な造形で祀られています。
本堂
さぁ、いよいよ「本堂」にお参りしましょう。
「本堂」の入り口の左右にも、狛犬さん1対が鎮座しています。
御本尊は薬師如来。
傍らには日光菩薩、月光菩薩、十二神将を従えているとのこと。
合掌低頭。
「本堂」の軒下には、「写経を納める箱」や、祈願用の「絵馬」・「お燈明(ローソク)」・「護摩木(お焚き上げする際に燃やす願いを書く札)」がズラリ。
「おみくじ」もありましたので、やってみました。
よく筒を振って……出た棒に書いてある番号を確認します。
棒をうまく撮影できていませんでしたが、23番でしたので、23番の引き出しからおみくじをいただきます。
23番は小吉!
「焦らば焦るほど苦しみ多く、騒げば騒ぐほど損をする災い添う運です」……
ブログ主、今は耐え時のようです……
「賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)像」も控えておられます。
別名を「なでぼとけ」と言い、自分の身体の治してほしいところを撫でると、その病気やケガが良く治るそうです。
う~ん。心の病は、ドコを撫でたらいいですか?
「本堂」向かって左端では、なんと仏像・仏画の販売も!
「本堂」の裏手には、御本尊が海中から引き上げられた聖地・赤浦の汐の海藻を奉納する台があります。
御霊水
「本堂」に向かって左脇に、小さなお堂があります。
こちらは、一畑薬師の位置する一畑山から湧き出た清水をいただける場所です。
薬師如来像に近づくと、如来が左手に持つ薬壺から御霊水が流れ出てきますので、お汲みください。
八万四千仏堂
「本堂」の左右と背後は、本堂を取り囲むように「八万四千仏堂」が立ち並んでいます。
「八万四千仏」とは、仏教で説かれている八万四千の教えを1体の仏像として奉納することで、供養をいただくことです。
その「八万四千仏の仏像」が納められているのが「八万四千仏堂」です。
↓の写真で、堂内に整然と立ち並ぶ金色の像1体1体が仏様です。
開基地蔵菩薩とまごころ地蔵の御堂
「御霊水の御堂」や「八万四千仏堂」の先に、「開基地蔵菩薩」と「まごころ地蔵」が祀られているお堂があります。
「開基地蔵菩薩」とは、一畑薬師の御本尊を海中から引き上げた漁師=補然和尚のことです。
また、「まごころ地蔵」とは、「開基地蔵菩薩」を彫り出した際に、同じクスノキから彫られた地蔵様です。
向かって中央が開基地蔵菩薩=補然和尚像、左手がまごころ地蔵。
合掌低頭。
鎮守社・稲荷明神・仏塔(?)
「開基地蔵菩薩とまごころ地蔵の御堂」の右手に、一段高い場所に赤い「鳥居」を発見。
さっそく、鉄の階段を登って行ってみましょう。
「鳥居」の奥には、社が3社並んでいます。
まず、手前の「鎮守社」。
このお寺がある一畑山をお祀りしているのでしょうか。
次に「稲荷明神」の社。
少し調べると、「お稲荷様」は神道系と仏教系の2系統いらっしゃるようです。
こちらは、仏教系の吒枳尼天(だきにてん)さまを祀っているのでしょう。
お供えするカワイイ狐像「みちびききつね」は、お守りなどの拝受所である「下生閣」近くで受け取れます。(奉納料500円)
最後に、こちらは仏塔(?)。
なにがお祀りされているのかは分かりませんでした。
仏塔の裏には、鬼瓦が並べられていました。
鬼瓦の供養塔なのかな?
下生閣(あさんかく)
「十六羅漢堂」の先には、記念などの受付やお守りの授与所たる「下生閣」があります。
トイレも、こちらにあります。
御朱印や、様々なお守りが準備されています。
御霊水を用いた「お茶湯」をいただけます。(要お賽銭)
一畑薬師の御由緒が、1枚の絵画で説明されているものも掲げられています。
わかりやすい!
交通安全祈願堂
一畑薬師では、乗用車の交通安全祈願もできます。
「下生閣」近くの駐車場(大駐車場より山頂側)に祈願所があります。
車で乗り付けて、祈願が受けられるようになっています。
結縁(けちえん)の木
「本堂」からの帰路には、珍しい姿をした木が2つ佇んでいます。
まず、椨(たぶのき)が2本、自然に結合した姿の木。
この姿を拝見し、「結縁」「調和」「円満」を祈り、「良縁」を結んで帰りましょう。
次に、椨(たぶのき)と紅葉(もみじ)が結合している姿。
異なる種類の木が繋がった姿から、「寛容」の心を表します。
水木しげる先生と一畑薬師のご縁
鳥取県出身で、ゲゲゲの鬼太郎などで知られる漫画家・水木しげる先生。
その先生の幼少期に、子守として先生に多大な影響を与えた「のんのんばあ」こと景山ふささんは、この一畑薬師の熱心な信者だったそうです。
その縁から、一畑薬師には、「ゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじ」や「子どもの水木先生とのんのんばあ」の像が飾ってあります。
欲にころぶな 元気におまいり
うん(運)と頂く結縁の道
果報はねてまて 涅槃おやじ
三昧(とらわれのない無心の世界のこと)
のんのんばあとオレ(水木先生)
「のんのんばあとオレ」については、水木先生が自伝的マンガを描かれています。
興味のある方は、一読してみてはどうでしょうか。
おわりに
島根県出雲市の「一畑薬師」について紹介させていただきました。
規模の大きなお寺で、いたるところに仏様・地蔵様・明媚な風景を目にすることができます。
ブログ主は、「目のお薬師さま」ということで、「心の眼の開眼を手助けいただきたい」とお願いしました。
おんころころ せんだり まとうぎ そわか
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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