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タイトル | こころの不調に効く!気楽に、気うつ消し |
著者 | 櫻井大典(漢方家) |
出版社 | ワニブックス |
初版発行年月日 | 2020年12月10日 |
本書は、中医学や心理学を学び、漢方の効能を広める漢方家として活動されている著者が、こころの不調にゆるりと効くテクニックを紹介してくれます。
また、気うつ(≒うつ)になる原因にも言及されています。
西洋医学でいう「うつ」と、本書(中医学)の「気うつ」はちょっと異なるものですが、似たようなものですので、うつうつとした気分に悩まされている方は、ぜひご一読ください。
本記事では、本書の内容をおおまかに紹介させていただきます。
「気うつ」な状態とは
気分が落ち込む、やる気が出ない。
イライラが止まらない、なんだか不安。
体調のせいであるときもありますが、自分の「気」に原因があることもあるのです。
「からだ」と「こころ」の「気」がスムーズに巡っていない。
あるいは、「気」が足りていない。
「気」を遣う言葉はたくさんあります。
元気、気持ち、気遣い、やる気、空気、気配り……
それだけ、人間は「気」を使って日常生活を送っているのです。
だから、ときに「気」が足りなくなって、疲れてしまうことも。
「気」とは、からだとこころのエネルギー。
眼には見えないけど、まるでバリアのように私たちを包んで、刺激やストレスから守ってくれるものです。
「気」が巡らない、「気」が足りなくなる原因は人それぞれ。
体質、環境、生まれや育ち。ストレス源も多種多様。
まずは、「自分のからだ」と「ストレス」について知ることから。
その「知ること」で得る「気づき」が、ストレスを遠ざけることに繋がります。
「気うつ」を遠ざけよう
気うつを感じたら、まずはそれを遠ざける行動をとりましょう。
心の中に生じた波を、できるだけ小さくとどめるように。
行動 | 解説 |
深呼吸をする | 緊張や集中すると気が滞るので、深呼吸で気の流れを動かす |
笑顔をつくる | 楽しいことがなくとも、先に笑顔をつくると、それにつられて気分が楽しくなってきます。 |
自然に触れる | 自然の中に身を置くことは、リラックスに繋がります。 |
心身への刺激を減らす | 「心は静かに、身体は動かす」が理想。ヨガや体操をしてみましょう。 |
養生を心がける | 健康は、損なう前に先手を打つことが肝要です。日頃から自分を労わり、養生していきましょう。 |
瞑想する | 瞑想により、心の整理整頓を習慣づけてネガティブな感情と距離をおいて、上手に心と付きあってきましょう。 |
ネガティブ感情が暴走した時は、道路標識「STOP・止まれ」を思い浮かべる | この発想法は、「ストップサインテクニック」という心理学のテクニックの1つです。 |
「痛み」の刺激で頭をリセット | ネガティブ思考の暴走がとまらないとき、「痛み」を自分に与えて我に返る、というテクニック。「痛み」は、手首にハメた輪ゴムをはじく程度でOK。 |
漠然とした不安は紙に書きだす | ひたすら紙に書きだします。書く前は無限に思っていた不安が、実は少なかったことに気づいたり、見える化できて対策を考えられるようになったりします。 |
筋肉を動かすとこころが整う | こころの安定に、筋トレやストレッチを行うことが有用です。 |
もともと日本は狭いことを知る | 人と人との距離・パーソナルスペースが、日本は欧米に比べて狭いのです。このことを知ったうえで、「生きづらさ対策を意識したり、立てたりしてみてはどうでしょうか。 |
つらいときは逃げていい | 「逃げる」ことは恥ずかしいことではなく、選択肢の一つですよ。 |
すべてを休んでリセットする | 思い切って仕事を休む(辞める)。そういう選択肢もあるのです。 |
いざというとき頼れる場所を持つ | 家族、恋人、友人、同僚。困ったときは、遠慮せず甘えてしまいましょう。そういう人がいない場合は、メンタルケアやボランティア団体、シェルターといったセーフティネットにも頼りましょう。 |
睡眠の時間帯にこだわる | 理想は、21:00にベッドに入り、23:00~3:00の間はしっかりと眠ること。21:00にベッドインが難しい場合は、5分でも10分でも早くベッドに入りましょう。 |
冷たいものは「常温よりやや低め」を目安にする | 基本的に、冷たいものを摂ると、内臓に負担を駆けます。「夏に体調を崩しやすい」方は、冷たい飲み物や食べ物を摂り過ぎてないでしょうか。 |
情報を遮断する | 災害や事件、事故といったニュースや心を揺さぶる情報があふれるSNSやインターネットを一切見ない時間を設けるのも、こころの安定化の一手です。 |
ストレス発散は、自分も他人も傷つけない方法で | 例えば、気の置けない友人とのおしゃべり、おいしいものを食べる、スポーツをする、登山、好きなDVDを見る、カラオケなどなど。 |
ため息をつく | 「ため息」は悪いものではありません。体内に溜まっていた邪気を吐き出す効力があります。 |
自分の弱点を知っておく | 体に良い食材というものは、体質によって変わります。だから、こころ・からだの弱点も人とそれぞれ。
自分の弱いところと、それに対する養生ポイントを押さえておきましょう。 |
こころの傷にも応急手当を | 人に言われたことで傷ついたとしたら、その瞬間、席を離れるくらいのスピード感で対処しましょう。
具体的な対処方法としては、「2分間まったく関係ないことをする」というもの(心理学者ガイ・ウィンチの提唱法) |
しんどそうな人への接し方は、そばにいること | 無理に前を向かせる必要はありません。「話したくなったら話してね」という距離感です。 |
「香り」で気分転換 | ストレス状態とは、ある一つのことが頭から離れない状態のことです。
ストレス状態になったら、好きな香りをかいで、意識を心地よい方に気分転換させてやりましょう。 |
上がってしまった気を下ろす | パニックやイライラで、いわゆる「頭に血が上った」状態になると、正常に気が体内を循環していない状態になります。気が頭の方向に集まってしまいます。
そこで、軽くからだを動かしたり、グレープフルーツやセロリ、トマトなどを食べる、ラベンダーの香りをかぐ、などの方法で気を下ろしましょう。 |
何事も「やりすぎ」は逆効果 | 「過ぎたるは猶及ばずが如し」との言葉のとおり、何事も度を超すと著しくエネルギー(気)を消耗してしまいます。「養生」とが、過剰な欲をコントロールすること。自分なりの「いい塩梅」を探ってみましょう。 |
期待を手放す | いい意味で「鈍感さ」や「無欲さ」を持つ。あまり気負わず、「人は思い通りに動かなくて当然」ということを心にとどめておきましょう。 |
無理にポジティブじゃなくていい | 現代は人と比較してしまいがちな時代。ものごとを悲観的にとらえがちな人もいるし、苦しい状況の中では、前向きになれないこともあります。それでもいいんです。
自分も他人も傷つけることなく、その日を終えられたのなら、それも幸せと言えるのではないでしょうか。 |
どうして「気うつ」になるの?
こころとからだの不調の状態「気うつ」。
その「気うつ」に、どうしてなるのでしょうか?
不調の原因を知ることで、未然の対処方法をとることができます。
その原因達について、簡単に表にしてみました。
気うつの原因 | 対処・備考など |
朝が弱い | 目を休める、からだを動かす、夜は少しでも早寝する。 |
気候の影響を受けやすい | お天気の悪い日に調子が上がらない日のは、ある程度は仕方がないこと、と考える。 |
甘いものがやめられない | 砂糖たっぷりの食品は、からだに負担がかかってしまいます。
砂糖たっぷりの甘い食品を減らすことから始めましょう。そして、お腹がすいていない時は無理に食べず一食抜くなど、自分の空腹感覚を大切にしましょう。 |
電車が苦手 | |
運動習慣がない | 運動不足は無気力に繋がります。意識して、走ったり、手足を動かしたりする習慣を心がけましょう。 |
不眠・寝不足 | スマホ・PCなどを見ない時間を作る、夜は早寝をするなど、意識的に目を休める時間を作りましょう。
遠くの緑を見るのも目を休ませることになります。 |
気がつきすぎる。 | 持って生まれた志向のクセを急に変えることは難しいと思いますが、自分は繊細なタイプだと自覚するだけでも、そのときどきの対応力を身につけることもできるでしょう。 |
内向的な傾向がある | 性格を変えるのではなく、心がつらくならないための手段として、職場などの環境に対応できる自分ルールを決めて、コントロールすることをめざしましょう。 |
自己肯定感が低い | 自己肯定感の多くは、幼少期の親子関係の中で育まれます。
大人になってからでも、自分を認めて受け入れてくれる友人やパートナーとの出会いなどでも自己肯定感は育まれます。 |
根を詰めすぎる | ものごとに集中するときは、こまめな休憩をとりましょう。
また、どんなに忙しくても、ひとりになる時間を作って、頭を空っぽにしましょう。 |
他人のために頑張りすぎる | 自分のキャパシティを超えてまで、他人の期待に応えようとしてしまう人は要注意。
自分の心の底に沈めた本音・モヤモヤ・欲求不満が気づかないうちに溜まりかねません。自分の心の傾向を把握し、気づかない無理の蓄積を防ぐ・発散させるようにしましょう。 |
イライラしやすい | イライラは熱が起こすもの。上がった熱を冷ます対処法は、中医学では、3タイプに分かれ(気滞タイプ・隠虚タイプ・痰湿タイプ)ますが、いずれもグレープフルーツが有効。良い香りがイライラの気をそらし、酸味が気の流れを循環させ、気分を落ち着かせます。 |
不安感が強い | 不安感が頭から離れない時は、深呼吸をしたり、いい香りをかいだりして気分転換をしよう。 |
おわりに
櫻井大典・著「こころの不調に効く!気楽に、気うつ消し」を簡単ですが、ご紹介いたしました。
本書には、本ブログ記事で紹介した内容の詳細や、漢方=中医学の考え方についての解説も収載されています。
目がチカチカしない、ほんわりとした色使い(モノクロではない)や、林ユミさんの、ゆるいイラストも多用されて、読みやすい1冊です。
不安が頭の中をグルグルまわったり、気分が上がらないなぁ……という時のために、そばに置いておきたい本です。(ブログ主も、本棚に常備薬として備えています)
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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