今回、ご紹介する書籍はこちら!
タイトル | 狛犬さんぽ |
著者 | 著:ミノシマタカコ(ライター・狛犬愛好家)・監修:川野明正(明治大学教授) |
出版社 | グラフィック社 |
初版発行年月日 | 2020年12月25日 |
本書は、寺社仏閣を守る霊獣「狛犬」さんにフォーカスを当てた1冊です。
狛犬といっても、調べていくと種類は様々。
この本を読んで、神社やお寺にお参りするときに、改めて狛犬さんを観察するのも面白いと思います。
本記事では、本書の内容をおおまかに紹介させていただきます。
本書の内容
本書には、下記の情報が収載されています。
・狛犬の起源と歴史
・狛犬の分類
・狛犬さんぽのやり方・楽しみ方
・全国54社の神社などに鎮座する狛犬の紹介
・狛犬以外の神社の「神使」たち
・狛犬を造った石工の紹介
などなど。
本書の1ページ1ページから、狛犬愛があふれています。
狛犬の起源・歴史
おおまかに、狛犬の起源と歴史を表にしてみました。
時代 | 経緯 | 備考 |
古代メソポタミア(紀元前6世紀頃) | ライオンやヒョウの像が、神や王の左右を守る霊獣とされる。 | 狛犬の起源。世界各地へ神殿に霊獣の像を設置する文化が拡散。 |
中国(紀元1世紀頃) | インドからから、仏教とともにライオン≒獅子が中国に伝来。 | 中国仏教の霊獣として獅子が用いられる。 |
日本(3世紀・古墳時代) | 中国から、獅子が伝来。 | 刀の装飾や壁画、舞踊に獅子が用いられるようになる。 |
日本(9世紀・平安時代) | 神社の霊獣像として、獅子1体と狛犬1体がペアで作られるようになる。 | 神殿狛犬(獅子・狛犬)と呼称される形式。 |
日本(江戸時代) | 日光東照宮をはじめとし、狛犬2体を奉納する形式が広まる。 | 参道狛犬と呼称する形式。 |
狛犬さんぽのやり方(参拝の方法)
1.鳥居や山門の前で一礼。帽子・サングラスは外しましょう。
2.手水舎で手と口(左手→右手→口→左手の順)を浄めましょう。
*柄杓に直接、口はつけないこと
3.まずは神仏様に参拝しましょう。
神社:二礼、二拍手、一礼
お寺:拍手はせず、合掌のみ
4.参拝後に、狛犬見学や御朱印をいただきましょう
狛犬の見どころ
本書で「狛犬の見どころ」として紹介されているポイントはコチラ。
狛犬本体について
部位 | 着眼点 |
顔 | 人間と同様、一番、狛犬の個性が現れる箇所。 |
毛並み | 毛並みも狛犬により、盛り上がっていたり、美しく流れていたり。 |
おなかの下・身体の表面 | 文字や模様が彫られていることがあります。お腹の下に雄の印を持つ狛犬も。 |
足先 | 指の本数や形も様々。 |
尾 | 尾にも模様が刻まれていることが。 |
台座 | 奉納した年月日や人の名、石工さんの名が刻まれていることも。 |
尾の形状
形状の名称 | 説明 |
つき尾 | 身体に、尾がべったり張り付いているタイプ。 |
立ち尾 | ピンと尾が立っているタイプ。 |
流れ尾 | 身体のラインに沿うように、尾が流れているタイプ。 |
団扇尾(うちわお) | 尾全体で団扇のような形をしているタイプ。 |
附属品
附属品の名称 | 説明 |
子どもの狛犬 | 愛らしい子どもの狛犬と、仲良く一緒にいることも。 |
玉・鞠(まり) | デザイン・サイズは様々な球状の装飾。石工の腕の見せ所です。 |
その他 | 前掛けや牡丹など、いろいろな装飾が施されています。 |
(時節柄、マスクをしていた狛犬さんも……)
材質
材質の名称 | 説明 |
凝灰岩(ぎょうかいがん) | 火山灰が固まって作られた柔らかい岩石。 |
砂岩(さがん) | 砂が集まってできた柔らかい岩石。 |
安山岩(あんざんがん) | マグマが急に冷えて固まった岩石。 |
花崗岩(かこうがん) | マグマがゆっくり冷えて固まった岩石。 |
岩石の硬さは、表の上に行くと柔らかく、下に行くと硬いという順になっています。
狛犬さんぽのNG行為
神社やお寺には、節度を守って参拝・狛犬さんぽを楽しみましょう。
以下のような行為は控えること。
・参拝せずに狛犬撮影だけする。
・ほかの参拝客の邪魔になるような行為は慎む。
・許可なく神域や立ち入り禁止エリアに入らない。
・危険な行為はしない。
・器物や自然の破損につながるような行為はしない。
全国54社の神社等の個性的狛犬さんの紹介
本書では、日本全国の個性的な狛犬さんがいる神社等が紹介されています。
豊富なカラー写真やイラストがふんだんに掲載されており、見やすいです。
施設1つについて、見開き1ページにまとめられているので、さらに見やすいです。
【主な記載されている情報】
・狛犬さんがいる施設の所在地・名称
・奉納年月や石工の名
・狛犬さんの見どころ
・施設の御由緒や歴史、エピソード
デフォルメされたかわいらしい狛犬さん、脱力系のゆるい狛犬さん、長い年月と風雪を感じさせられる狛犬さん、寄り添う2体の夫婦狛犬さん……
写真を眺めるだけでも、個性豊かな狛犬さんに癒されます。
おわりに
ミノシマタカコ・著/川野明正・監修「狛犬さんぽ」を簡単ですが、ご紹介いたしました。
当ブログでは、山陰地方の寺社仏閣をよく取り上げていますが、正直、狛犬さんは漫然と観るだけでした。
「違いが分かる人」になって、狛犬さん1体1体を愛でるのもおもしろそうですね。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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