こんにちは。佐々井と申します。
月1回、座禅でお世話になっているお寺でお経もあげています。
そのお経は「般若心経」なのですが・・・
今回ご紹介する書籍は、「知識ゼロからの般若心経入門」です。
著者は、宗教評論家の「ひろさちや」さん。
タイトルどおり、「般若心経」の内容を詳しく解説した1冊です。
本書をオススメしたい方はこちら。
それでは、本書についてご紹介していきます。
「般若心経」ってなにが書かれているの?
「般若心経」は長大な「般若経」というお経を262文字に凝縮した、おそらく日本でもっとも有名なお経です。
日本では、浄土真宗と日蓮宗以外の仏教・各宗派でよまれています。
「色即是空(しきそくぜくう)」「空即是色(くうそくぜしき)」という言葉が出てくるのも有名かと思います。
その言葉に出てくる「空(くう)」は、般若心経に7回登場する、重要な単語です。
そもそも、このお経は、観音様が仏様の弟子・舎利子(しゃりし)に「空(くう)」を説いたものだからです。
「空」とは「こだわりなくモノ・ココロを見る」こと。
そして、お経の内容は、こうです。
「あらゆるものを、あるがままの姿を直視する=空」を体得すると、全ての苦しみが消えていく、といいます。
つまり、「般若心経」は、「生きるうえでの悩みをなくす方法を説明したもの」なのです。
そして、「空」の世界を分かるには、以下の3つの智慧(ちえ)を実践することが重要と言います。
1.損をしよう
2.問題を解決しようとしない
3.世の中を良くしようとしない
この3つの考え方については、1つずつ紹介していきます。
般若心経の考え方1「損をしよう」
「損をする」ってなんでしょう?
それは、自分の持ち物を喜んで人にあげることです。
仏教では「お布施」といいます。
「喜んで」人にあげる、というのがミソです。
「かわいそう」ではなく、「ありがとう」と思って行うのが、お布施です。
また、無理をして「損をする」ことはありません。
「譲りたくても、これは譲れない・・・ごめんなさい」という場合、まず感じる「譲りたい」という気持ちが「お布施」になります。
例えば、お年寄りを電車の席を譲りたくても、気分が悪くて席を立てない、とかですね。
自分の弱さを認め、他人の弱さも同じように許し、目に入る「すべて」を手に入れようと頑張らない・・・
これも「お布施」の一種になりますよ。
般若心経の考え方2「問題を解決しようとしない」
この世で起こる問題などは、「世間のものさし」や「自分だけのものさし」で計ろうとしないことです。
例えば、子どもが不登校になってしまった場合。
親からすると「学校は行くもの」という「世間のものさし」で計ってしまいます。
しかし、そもそも「学校」とはなんでしょう?
もし、「学校」の本質が「勉強するための場所」であれば・・・
「勉強が学校以外の場所でできるのであれば、無理に学校に行かせることはない」
というのも判断もできます。
悩み、不安、焦り、心配事・・・・・・これらは永遠になくなりません。
苦しいことは起きてしまいますが、起きたことはどうしようもありません。
今、この一瞬、一瞬をどう生きるか。
本質を見つめて生きているか。
この「今」を続けていくことが「人生」といいます。
「死ぬこと」だって、立派な人生のイベントであり、そのときは「しっかり死ぬ」ことが大事なんです。
般若心経の考え方3「世の中を良くしようとしない」
この世の中、Aさんにとって「良い世の中」でも、Bさんにとっては「悪い世の中」ということは、ざらです。
勝ち、負け。 得した、損した。
世の中の人々は、そうしたことで一喜一憂し、100人中100人が、いつも幸せなユートピアというものはないのです。
例えば、「いじめっ子」と「いじめられっ子」の関係を見ると、「いじめっ子=悪」で「いじめられっ子=善」に見えます。
しかし、「いじめっ子」が常に「いじめ側」とは限りませんし、「いじめられっ子」が常に「善」かは分かりません。
「いじめられっ子」が、場面が変わると「いじめ側」になっていたりすることもあります。
この問題について、仏教としては、どうアプローチするのか?
それは、「この世に善も悪もない」という見方です。
さらに言うと「この世の中を“一方的に”良くしない」ことです。
一見、「でたらめ」「あきらめ」「いい加減」と思うスタンスです。
しかし、この「でたらめ」「あきらめ」「いい加減」と、「世間のものさし」とのバランスをとることが、実践的な仏教・・・すなわち「般若心経」の精神なのです。
おわりに
「知識ゼロからの般若心経入門」について、ご紹介してきました。
いかがだったでしょうか。
262文字の文章で、いろいろな意味が記載されているのは驚きでした。
本書では、「般若心経」全文と対比する形で、現代語訳も収載されていますので、そちらも興味深いものでした。
なお、内容が宗教的かつ、著者の見解も大きいと思いますので、異論や異なる解釈もある方もいらっしゃるかと思います。
当ブログの記事は、ご紹介する書籍で記載されている内容を紹介したものですので、「こうした解釈・考え方が紹介された1冊の本がある」とご理解いただければ、と思います。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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