「終活」
この言葉が世に広まって、しばらく経ったように思います。
「人生の終わりを迎えるのための活動」の略語ですね。
「終活なんて、老後にボチボチやるもんでしょう?」という方もいらっしゃるかと思います。
が、さにあらず。
一寸先は闇。生きていることは、死は隣りあわせ。
どの世代でも、自分の人生の終わりを意識することは、「今」「これから」の生き方を見つめなおすことであります。
「今」を見るために、「終わり」を考えてみませんか。
「終活」に目を向けたきっかけ
この記事を書くきっかけは、友人から1冊の冊子をいただいたことです。
それが、『お坊さんがつくった「終活ノート」』
1つの丸が描かれた(”円相”といいます)シンプルな表紙の14ページの冊子です。
企画・出版は、石見曹洞宗青年会。
島根県のお寺さん(曹洞宗)がつくられたものです。
無料で配布(?)されているもののようです。
この冊子の冒頭には、
「(前略)死について丁寧に向き合うことで、いまこの瞬間を生きるという実感が生まれる(後略)」
……とあります。
それでは、死を意識することが如何に生を実感せしむか。
大まかにですが、この記事で紹介させていただきます。
お坊さんがつくった「終活ノート」とは
仏教の開祖:おしゃか様が人間の苦しみと言った「生老病死」。
この「生・老・病・死」とは……
・生き続けたい
・若く元気でいたい
・病気になりたくない
・死にたくない
……という有史以来、人が抱え続ける欲望のこと。
しかし、このどれもが避けられないものです。
避けられるなら、真正面から受け止めよう。
そして、受け止めたうえで、今を生きていこう。
そうした教え・想いが、仏教にはあるといいます。
その「死・生」へ向き合うツールの1つに、「終活」があります。
死を、これからの生を、じっくり考えるきっかけの1つにしてほしい……
そうした思いで、「お坊さんがつくった「終活ノート」」は作られたのです。
死と生に向きあうプロセスとは
それでは、この終活ノートの内容をザックリご紹介します。
「終活とは、どういったプロセスで行うか」が、把握できると思います。
1.今までの人生を振り返る
名前、生年月日、血液型といった情報をまとめるところから始めましょう。
そして、出生から今までの思い出を振り返りましょう。
もしかしたら、やり残したことを思い出すことがあるかもしれません。
2.今の財産・相続を整理する
財産の種類やその詳細を整理しましょう。
終活ノートは法的効力がなく、遺言書ではありません。
ですが、遺言書の作成のための下作業として、終活ノートづくりは役に立つでしょう。
3.今後の医療・介護を考える
かかりつけ医や持病、といった現在のことから、延命治療や告知の希望などを判断できる今から決めましょう。
この事項は、家族などの周囲との話し合いも必要になってきます。
「不謹慎な話題」と思われることもありますが、いずれ訪れること。
話し合える時に、話し合っておくことが、将来的に自分のため、家族のためになるでしょう。
4.葬儀や埋葬のことを考える
葬儀の方法や段取り、埋葬やお墓のことも考えましょう。
「死んでからのこと」も、できれば話題にしたくないもの。
しかし、自分が死んでからは、自分は意見できませんし、周囲も落ち着いて考えることが難しいこともあります。
穏やかな最期、穏やかな看取りを考えると、この「死後について」も、生前に整理することが肝要です。
5.「これからの人生=今、この瞬間」をどう生きるか感じる
これまでの生、これから訪れる死。
これらを考えた中で、やり残したこと、やりたいこと、心がけたいこと。
そうした思いや考えがよぎると思います。
死は、いつ訪れるかわからない。
そうだとしても、今は生きねばならない。
ならば、いかに生きていくか。
このノートを使うと、人生の振り返りと、いずれ決めるべきことの先決めができます。
今、あなたは『人生のゼロ地点=人生の再出発点』にいるのです。
今が何歳であろうが、「今、自分が一番若いのは今」。
人生の、この先の長さは誰にもわかりませんが、最期に悔いを残さない人生を。
そのきっかけに、終活ノートをご活用ください。
Bon Voyage
おわりに
「お坊さんがつくった「終活ノート」」をご紹介しました。
「終活ノート」の主旨と内容をご紹介したわけですが……
人生の決算、というべき作業が14ページの1冊のノートでできる、というのも無理な話。
作ろうとした人それぞれに、込み入った事情・背景があるでしょう。
この記事でご紹介した内容は、あくまで概略・大まかなあらすじ。
この冊子の最後では「まずはお寺まで、お気軽にお問い合わせください」とあります。
「結局は、お寺の宣伝かい!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません……
しかし、悩ましい事柄は、自分1人で抱えずに、いろいろな方や機関に相談するのも一手。
人生をよりよいものにするために、「終わりから考える」という整理方法を活用していきましょう。
ここまでの御高覧、ありがとうございました。
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