この本は、「経済的自由」を得る方法を知ることができる1冊です。
近年、FIRE(ファイヤー)という言葉が、流行しました。
この言葉は、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を組み合わせた造語です。
「働かなくてもよい収入源を確立し、早期リタイア=経済的自由を手に入れる」を意味します。
本書は、「FIRE」という単語こそ、あまり出てきませんが、その「FIRE」に至るまでロードマップが示されています。
日々、「生活費を稼ぐために働き詰め」という生き方に憂いている方への一冊と言えます。
本記事では、本書について簡単にご紹介します。
FIREまでのロードマップ
「経済的自由」を手に入れるまでには、3つの収入ルートを獲得する必要があります。
サラリーゲイン(給与所得・本業による収入)
まず確保すべきは、労働所得(サラリーゲイン)。
この労働所得をアップさせることが第一段階です。
労働所得は、転職(キャリアアップ)、勉強(スキルアップ)といった自己投資で上げることができます。
自己投資=自己成長といっても、大きなお金は必要ありません。
多額の自己啓発セミナーに通わなくても、無料の動画コンテンツや書店で手に入る書籍による勉強も有効ですよ。
しかし、リストラや勤め先の倒産というケースもあり、「会社は自分を守ってくれる存在」とは言えません。
会社は自分の親ではないのです。
経済的自由を手に入れるには、サラリーゲインを最大化できた後も、次の段階に進む必要があります。
ぜひ、次の章もお読みください。
(なお、「サラリーゲイン」は著者が作った造語です)
サイドゲイン(副業による収益)
サラリーゲインの増加という第1の波に乗れたら、第2の波に乗りましょう。
それが「サイドゲイン」です。
最近話題の「副業」。
公務員は法的に規制がありますが、多くの企業では副業を解禁する動きが広まっています。
終身雇用が崩壊した今、会社以外に収入ルートを確保する必要があります。
それが「副業」なのです。
しかし、副業の中には「すべき副業」と「すべきでない副業」があります。
その違いは、「本業で役に立つかどうか」。
そして、「スキルアップや転職に役立つかどうか」。
副業に取り組むからには、「ただお金を稼ぐ」だけでは発展性がありません。
自分を成長させるルートを積極的に選択していきましょう。
インカムゲイン・キャピタルゲイン(金融所得)
インカムゲインは、株などの配当金収入のこと。
キャピタルゲインは、土地や株などの売却益のこと。
両方とも、投資による所得のことです。
経済的自由を得るには、不労所得である金融所得を増やすことが肝要になってきます。
自分が働かなくても、お金が働いて収入を得ることができるのですから。
さて、本業や副業の収入を原資に、投資という第3の波にのって経済的自由を目指すのですが……
ここで間違ってはいけないのが、「投資だけに注力」しても、経済的自由は手に入らないことです。
投資にはタネ銭……つまり株や不動産を購入する軍資金が必要です。
そして軍資金は、多ければ多い方が投資の効果も大きくなります。
雪だるまを作る際に、「最初の雪玉が大きければ大きいほど、大きい雪だるまが作れる」というワケです。
つまり、投資の効果を引き出すには、本業や副業による収入を太らせておくことが重要です。
それでは、本業と副業の収入が十分でないのに、投資を行うとどうなるか。
投資に使う資金が少ないため、「絶対に、この投資は失敗できない!」と、メンタルが追い込まれやすくなります。
そんな状態では、相場などに対して正常な状況判断ができなくなります。
「余裕」というものは、理性的な判断を行うにあたって大切なものです。
また、投資に失敗した時のリスクが高くなります。
生活防衛資金の確保や、投資に失敗しても再起できるよう、本業や副業の態勢を整えてから投資するようにしましょう。
FIREへの道のり・まとめ
まず、サラリーゲインを確保・拡張しつつ、サイドゲインを確立しましょう。
その後(もしくは同時並行で)、投資の世界に進み、インカムゲインやキャピタルゲインを得らえるようにしましょう。
(投資は少額から始めましょう)
以上の3段階が、FIREへのロードマップです。
肝要なのは、サラリーゲイン、サイドゲインの順に確保してから、インカムゲイン・キャピタルゲインを軌道に乗せるということ。
急いては事を仕損じます。
自分も働いて、お金にも働いてもらって「経済的自由人」を目指しましょう。
FIREしたらどうする?
ところで、「FIRE」は手段であり、目的ではありません。
経済的自由を得て、自分は何をしたいのか?
その点についても、考えておく必要があります。
経済的自由人は、「したくない仕事」をしなくていいのです。
それでは、「したい仕事」とはなにか?
もちろん、「まったく仕事はしたくない!」のもいいでしょう。
しかし、それでは自分の一生は何のためにあるのか。
FIREを達成後、そうした疑問を持つ人が多いといいます。
本書の著者は、FIREを達成した後も、「子どもたちに真のお金のリテラシーを教えること」を夢見て働いています。
お金はツール。
ツールに振り回されず、ツールを使いこなす人生を夢見て頑張りましょう。
FIREの決め手になる「最強の投資法」とは
ここまでで紹介した3つの収益の種類。
そのうちの2つ、サラリーゲイン・サイドゲインの強化方法は、読者の数だけケースバイケースです。
その人ごとに、置かれている環境や持つスキルが異なるからです。
しかし、インカムゲインやキャピタルゲインの金融所得については、一定の型があります。
本書で掲載されている、初心者向けの投資法を紹介しましょう。
1.自己投資により、サラリーゲインとサイドゲインを増やす
2.つみたてNISAでインデックスファンドに投資を始める
3.特別口座でインデックスファンドに投資を始める
4.金ETF(金=金塊=ゴールド)に投資を始める
5.Jリート(不動産)に投資を始める
6.個別株(企業の株式)に投資を始める
以上が、著者が勧める投資方法です。
さて、「つみたてNISA」や「インデックスファンド」のような用語も出てきました。
この投資方法の詳細や用語については、長くなるので本記事で紹介しきれません。
ぜひ、詳しくは本書をお読みください。
本書では、投資法のオススメ理由、株式チャートの分析方法、年代別の投資方針の違いまで解説されています。
ただし、投資の基本は「自己責任」。
本書の内容が、投資の成功を保証するものではありませんので、あしからず。
「稼ぐ」と同じく「節約」も大事
本業、副業、投資でお金を増やしても、浪費してお金を失っては意味がありません。
「節約」も大事、ということです。
本書は、節約についても記述されています。
節約と言っても、紹介されているのは「こまめに部屋の電気を消す」などの細かい生活のノウハウではありません。
以下のような、もっと大きくお金や時間を節約できる方法です。
・まずは、保険・通信・電気などの固定費を減らす
・資産価値などを考えると、住居は持ち家より賃貸がオススメ
・「稼ぐ」時間を確保するために、「時間」を節約=時短のサービスや機材を買う
上記のような点に絞って説明されています。
しかし、「ストイックに節約しよう」という論調ではありません。
節約は楽しくやらないと続かない。
「余裕が大事」というスタンスです。
「節約」は「投資」と同じ、ということです。
壁を乗り越えるマインドセット
本書の最終章では、「投資マインド」について紹介されています。
ものごとは、すべて順調というものはありません。
いずれ、なにかの壁に当たるでしょう。
その時、「どのような考え方をするか」で行動を継続できるかが変わってきます。
それでは、どのようなマインドセットが必要なのか?
失敗はいずれ訪れる。その時は……
1.大事なのは、失敗の後にどうアクションするか。
2.その失敗を、どう自分の経験値とするか。
この2つのマインドが重要です。
そして、失敗をするには早い方がいい。
チャレンジは、小さく、早く始めて、小さな失敗を重ねましょう。
これが成長する最短距離のルートです。
具体的なアクションをしないと、失敗=経験ができない。
失敗を恐れてアクションを遅らせると、成長も遅れていきます。
そして、「お金のこと」ばかりを考えないこと。
逆説的ですが、お金に執着しすぎると足元を転ばされます。
資産形成を焦るがあまり、詐欺や怪しい投機に手を出して資産を失うこともあります。
逆境でも焦らない、待つことも大事、慎重な判断、中長期的視点を持つ……
「余裕・余白をもつマインド」が、魑魅魍魎が仕掛けてくるお金の罠を回避させてくれるでしょう。
おわりに
著・上岡正明「「お金の不安」から自由になるためのお金が増える強化書」を簡単ですが、ご紹介いたしました。
本書は主に「投資」についての本です。
そして、投資は自己責任の世界です。
自分で調べ、納得し、行動していくことが大事。
「あの情報のせいで……」、「あの人が言ったから信じたのに……」は通用しません。
自分で決断し、責任をとるのはキツイことです。
他責思考=なんでも他人のせいにする、は確かに楽です。
しかし、それでは自分も、自分がいる環境も好転しません。
自分が成長していく過程で、その指標としてお金が増えていくといいですね。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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