(書籍紹介)クロミの『歎異抄』【朝日文庫編集部】

書籍紹介

この本は、あたりまえで大事なことを改めて再認識させてくれる1冊です。

 

『歎異抄(たんにしょう)』とは、鎌倉時代に仏教僧・唯円(ゆいえん)によって書かれた書物です。

唯円は、浄土真宗の開祖・親鸞(しんらん)の弟子で、親鸞の死後に迷走した教団の教義を憂い、この書を記しました。

つまり、親鸞からの教えをまとめた書物であり、悩みを抱えながら生きる人に響く1冊として世に広く知られています。

 

本書は、その『歎異抄』をサンリオのキャラクター・クロミのイラスト付きで紹介するものです。

本記事では、本書について簡単にご紹介します。

 

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本書のテイスト

この本は、歎異抄に掲載されている127個の言葉が現代文で紹介されています。

 

短い言葉が、1ページに1つずつ。

(たまに見開き1ページまるごと)

 

それぞれ、現代文、現代文での補足説明、原文、クロミのイラスト1点で構成されています。

現代文、現代文の補足説明、原文の順で文字が小さくなっており、視覚的に読みやすいです。

また、フルカラーで掲載されている言葉にあわせたクロミのイラストが楽しめます。

 

原典は仏教書ですが、この本では仏教の用語もなければ、宗教的な話もありません

仏教徒でも、他宗教の人でも、無神論者の人でも、普遍的に参考になる言葉が掲載されています。

宗教に関係なく、人生に有益な考え方が知りたい方に読んでいただきたい本です。

次の章から、ブログ主が特に染み入った言葉を6つ紹介します。

 

誰にアドバイスをもらうかは、しっかり熟考して自分で決めた方がいい

本書の一番最初に掲載されている言葉です。

 

偉人の言葉も時がたち、人づてになると少しずつ変わっていきます。

この言葉は、師・親鸞の教えを直接受けた原著者・唯円のため息でしょうか。

師の教義が徐々に捻じ曲げられているという悲憤が感じられます。

ネット、SNS、本、テレビ、先輩、友人、親……

情報があふれる現代では、ことさら重要なことです。

ヒトの言葉に踊らされるほど空虚なことはありません。

過信妄信、軽挙妄動は禁物。

他人の言動はどうあれ、自分の行動は自分の責任。

世に出ている情報を、自分の人生にどう活かすかは自分で決めましょう

 

 

知識があるかないかだけで、相手のことを判断して見下すなんてかっこ悪い

うんちくが好きなブログ主に刺さった一節です。

 

自分は生半可な知識を、鼻高々に高説ぶっていないか……

この一節を読んだとき、背筋に脂汗が流れる思いがしました。

本当に賢い者は、知識の優劣など問題にしません。

誰でも分け隔てなく接し、誰もがわかる言葉でわかりやすく話します。

真の賢者とは誰に対しても頭や腰は低く、かつ芯があり温かい人のことなのでしょう。

 

何が正しいかは立場で変わる。人の間違いを正そうと必死になるのはやめよう

同じ世界に暮らしていても、人それぞれに真実があります。

ある映画を見て、「傑作」と絶賛する人もいれば、「駄作」とこき下ろす人もいます。

必ずしも、真実はいつも一つではないのです。

自分から見れば「間違っている」人も、その人にとっての正義があります。

 

この一節を読んだとき、ブログ主は大好きな「ドラえもん」のセリフを思い出しました。

どちらも自分が正しいと思ってる。戦争なんてそんなもんだよ」

お互いに「正義」を主張して殺しあう人間たち。

これは、数千年の歴史を経ても戦争がなくならない人間の業なのでしょうか。

そんな人間の業に、自分も飲み込まれなくていいのです。

自分だけでも一方的な押しつけの「正しさ」を振りかざさないようにしたいものです。

 

黒歴史を消し去ろうとするより、これからどう生きるか

「黒歴史」とは、「なかったことにしたい過去」のことです。

 

過去に起こったことは消せません。

悪いことをした後に、いくら悔い改めても自分の都合でなかったことにできません。

特に近年は、画像や動画がネットに拡散して消し去ることができない、「デジタルタトゥー」という言葉もあります。

では、どうするか。

なかった事にできないから、どうでもいい。。。などとヤケにならないでください。

 

起きたこと、起こしたことを教訓に、今日を明日を暮らしていく。

人間は、過去に向かって生きることができません。

向かっているのは今を起点にして、未来です。

そうやって生きることで、過去の出来事への見方が変わってくるかもしれません。

自分も、周囲の人も。

この言葉を知った今から、未来に向けて変わっていきましょう

 

自分がやりたいことをやろう。最初は見向きされなくてもいい。必ず認められる日がくる

「生きていくには、普通がいい。考え直せ」

「出る杭は打たれるよ」

 

自分が、なにかを始めるとき、そう言われることがあります。

 

「そんなことは、やっても無駄だよ」

「なにをやってるんだ。常識外れだよ」

 

自分の価値観が全く認められないことがあります。

そうしたときに、どうしたらいいのでしょうか。

他人の「常識」にあわせて生きていくこともできます。

自分のやりたい事で生きていくこともできます。

自分と他人の「常識」を見比べてバランスをとるやり方もあります。

どの選択肢を選ぶかは自由ですが、その選択をするのは自分自身です。

つまり、どう生きていくかは自分の責任です。

自分のやりたいことを、自分で考えたやり方をハラを括ってやりましょう。

もちろん、周囲に迷惑をかけないやり方という条件で。

そして、結果を出したり、継続する姿勢を見せれば周囲の評価も変わっていくでしょう。

 

勇気を出して慣れ親しんだ場所から抜け出して、新しい世界を体験しに行こう

この言葉は、本書の最後に掲載されています。

つまり、本書から読者への手向けの言葉です。

 

人は変化することを本能的に恐れます。

そのため、現状に満足していない状況でも、今の状況を維持しようとします。

政府や会社、上司や家庭の愚痴・不満を並べるだけの人は多いと聞きます。

しかしそれで、なにが変わるのでしょうか。

現状を変える努力をし、最後は運に任せる

結果の成否に関わらず、自らを省みてアップデートしていく。

有言実行or無言実行。

 

そうしたマインドで生きていくのが大事です。

成功確実な起業や転職、受験や恋愛ということは、滅多にありません。

不安を抱えながら、しかしアクションし続ける人が現状を変えられるのです。

鎌倉時代の昔に記されたダイレクトな忠言は、時を経た今も心に響きます。

 

おわりに

編・朝日文庫編集部「クロミの『歎異抄』」を簡単ですが、ご紹介いたしました。

 

読む人によっては、本書は「きれいごと」が書いてあるだけ、という感想もあるかもしれません。

はい。たしかに、ブログ主もそう思います。

しかし、これを「きれいごと」で終わらしていいのか。

朝起きたら顔を洗う、食べた後は歯を磨く、トイレの後は水を流す……

人には、生きていくうえでのカタチがあります。

本書にある言葉は、精神的な「生きていくうえでのカタチ」だとブログ主は思います。

”きれいごと”を、”きれいごと”ではなく、自分の生き方とすること。

そうすることで、自分が求めている平和な生き方ができる気がしています。

人としての「生き方の原点」に立ち返りたいとき、本書を読んでみてはいかがでしょうか。

 

ここまでの御高覧、ありがとうございました!

 

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