自分のしたいことを、自分の判断で行う、自分だけの世界。
それが、自分だけでキャンプをすること……通称「ソロキャンプ」です。
そのソロキャンプの世界に誘ってくれるのが、本書!
タイトル | 大人のソロキャンプ入門 |
著者 | ヒロシ(芸人・キャンパー) |
出版社 | SBクリエイティブ |
初版発行年月日 | 2022年4月15日 |
本記事では、本書の内容をおおまかに紹介させていただきます。
著者・ヒロシとソロキャンプ
「ヒロシです……」
ピン芸人・ヒロシの芸は、このフレーズで静かに始まり、自虐ネタをこれでもか、と展開するもの。
このネタで、2000年代にブレイク。
その後、自分の判断でテレビ出演をしなくなり、芸人としての活動は縮小。
趣味であるキャンプを扱ったYouTubeチャンネルを立ち上げ、これが再ブレイク。
現在では、ソロキャンプの第一人者として認識され、活動も続けられています。
そんな著者のキャンプとの出会いは幼少時代。
父親からキャンプを教わり、それから友達と山に川に繰り出したそう。
そして、大人になり、芸人となってからキャンプを再開。
最初は芸人仲間とグループキャンプをしていました。
その中で、著者は準備に設営にと動いていたのに対し、お客様気分の参加者を見て興ざめ。
グループキャンプを辞めてしまいます。
しかし、キャンプ自体を嫌いになったわけではなかったため、ひとりでキャンプを楽しむようになっていきます。
そして、その「ソロキャンプ」の沼にドップリとハマっていくのでした……
本書のテイスト
本書は、著者とインタビュアーの対談形式で綴られています。
そして、このインタビュアーは「ソロキャンプをこれから始めようかな」というスタンスで対談を始めます。
このため、ソロキャンプ未経験者(でも興味あり)の読者には、非常に読みやすい本になっています。
また、著者のギア(キャンプ用具)や焚き火のやり方の紹介のために、写真が掲載されていますが、モノクロ写真です。
そして、この書籍は文章中心の構成のため、図説や大きなカラー写真での解説がメインの書籍を求めている場合は、毛色が異なるかもしれません。
しかし、本書の「はじめに」に「僕がソロキャンプの始め方・楽しみ方を語り尽くす」とあるのは、伊達ではありません。
読み進むうちに、ヒロシ節に乗せられて、野に出たくなること受けあいの一冊です。
なお、本書の随所に著者の芸風と同様、下ネタが盛り込まれた表現がありますので、苦手な方はご留意ください。
本書の内容
さて、本書に記載されている情報は、どのようなものがあるか、簡単にご紹介します。
・「なぜ、1人でキャンプに行くのか?」という問いへの回答
・ソロキャンプをする前に「自然」を感じられる方法(外で飲食、日帰りキャンプetc)
・ソロキャンプをする場所の選び方
・キャンプギア(用具)を揃える方法(100均・現場作業者向けのお店etc)
・テント・寝袋・ランタン・の選び方
・ガスストーブ・クッカーの選び方
・料理が苦手な人の野外調理について
・火の特性と、焚き火のやり方
・連泊、無人島キャンプ、ブッシュクラフト……広がるソロキャンプの楽しみ方
もちろん、上記の内容以外にもキャンプにまつわるお話が数多く収載されています。
そして、著者が強調しているのは、本書に掲載されているソロキャンプのやり方・考え方は、「執筆当時のヒロシ流」であること。
ソロキャンプの一番の魅力は「圧倒的自由」!
固定観念を持ってしまうと、その自由さが失われてしまいます。
本書はあくまで、一例。”ヒロシスタイル”の紹介なのです。
そして、著者自身もキャンプの楽しみ方を試行錯誤している真っ最中なんです。
自分流のキャンプのやり方・装備を見つけるためには
まずは、キャンプをしてみること。
宿泊キャンプから始めなくても、日帰りキャンプ(デイキャンプ)や河原でコーヒーを飲むことから始めてみる。
少しずつ野に出て、必要そうなアイテムを少しずつ買い足していく。
そうした試行錯誤を楽しむ事がキモだそうです。
著者も、いろいろ試行錯誤した結果が今のスタイル。
そのスタイルを育ててきたプロセスが楽しい、とのこと。
とはいえ、「試行錯誤と言われても、キャンプギアは高いから、お金が足りないよ……」とも感じてしまいます。
そんな時、著者は「ギアは専門店で揃えなくても、100円ショップやディスカウントストアもオススメ」と教えてくれています。
そして、試行錯誤することは、その人の楽しみ。
よく、その趣味に長じた人がビギナーを見つけて、いろいろ(一方的に)講釈するのを見かけますが、これは野暮と言うもの。
「他人の試行錯誤の楽しみを邪魔をしない」のも重要なことです。
ヒロシのソロキャンプ装備
前章にて「試行錯誤で自分にあったキャンプギアを見つけよう!」と言われても、なにか参考になる情報が欲しいもの。
そんな読者に、著者のキャンプギアの一例も掲載されています。
用品名称 | メーカーなど |
ドームテント | バンドック「ソロドーム」 |
冬用寝袋 | モンベル「ダウンハガー#0」 |
マット(寝袋の下に敷く) | サーマレスト「Zライトソル」 |
革手袋 | |
ナイフ | ヘレ「ディディガルガル」 |
火おこしセット | ファイヤースターター、火打ち金、火打ち石、火吹き棒等 |
炭バサミ | テオゴニア |
LEDランタン | |
調味料セット | 塩胡椒、にんにく醤油 |
コーヒー | |
ファーストエイドキット(救急箱) | |
焚き火台 | STC「ピコグリル398」 |
オイルランタン | フュアハンド「ランタン275(蓋のみ276)」 |
ホーローのマグカップ | |
調理・食事用鉄板 | NO.164「独焼鉄板」 |
携帯浄水器 | セイシェル「サバイバルプラス携帯浄水ボトル」 |
バックパック | サイバトロン「3Pタクティカルバックパック」 |
ランドリーバッグ | 軍放出品 |
シュラフカバー | |
グランドシート | |
ブランケット | |
エビ鉈 | |
カートリッジガスコンロ | SOTO「レギュレーターストーブST-310」 |
アルミのシェラカップ | |
ステンレススチールボトル | ナルゲン |
カトラリーセット | 箸、スウェーデン軍のナイフ、フォーク、スプーン |
まな板 | |
折りたたみ剪定のこぎり | NO.164×サムライ「野斬鋸」 |
麻紐 | |
ポップアップテーブル | SOTO |
上の表にある用品のほか、クッカーやウッドストーブ、アルコールストーブ、ホットサンドメーカーといった用具についても紹介されています。
とにかく本書では、キャンプギアの一品一品に、著者の思い入れやこだわりが語られており、キャンプの世界の奥深さの一端を垣間見れた気になれました。
おわりに
ヒロシ・著「大人のソロキャンプ入門」を簡単ですが、ご紹介いたしました。
本書を手に取るのは、「これからキャンプを始めようかな?」や「ソロキャンプを始めたけど、いろいろ教えて欲しい」という方でしょうか。
本書は、「キャンプの楽しみとは」というところからスタートして、「キャンプ用品のおおまかな選び方」、「キャンプの大一番・焚き火のやり方」といった解説が、著者のこだわりとともに綴られています。
反面、「キャンプを行う際の基本的なルール」や「野外調理の詳しいやり方」といったことの情報量は、あまりありません。
残った疑問点は自分で調べてネ、それも楽しいから……といったところでしょうか。
ブログ主は、「これからキャンプを始めようかな?」の部類ですが、「キャンプの楽しみ方」を教えられた気がします。
それは、「なにをするにも、自由だ」ということ。
自分のしたことが、成功したのか、失敗したのか、は二の次。(怪我やトラブルはいけませんが)
世間のしがらみから離れて、1人のヒトとして自然に囲まれて過ごす。
これほどの贅沢はない、のでしょう。
ブログ主、本書を読んで、人生初めて山に行こうかな、と思い立ちました。
(……家族とデイキャンプから始めよう)
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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