この本は、防災・被災時に役に立つスキルを遊びながら学べる方法を紹介する1冊です。
災害大国・日本。
防災知識を子どものころから学ぶのは大切なことです。
そして、子ども達は防災を楽しみながら学ぶことが一番。
本書は子どもたちに防災を学べる「遊び」を教える立場の人向けの内容になっています。
本記事では、簡単にご紹介します。
全体的な内容と構成
本書は4つの章に分かれており、73個のノウハウが紹介されています。
全てのノウハウの説明にはイラストや解説図も添えられており、イメージがしやすくなっています。
章別の内容は下のとおり。
●被災に備える防災対策・16選
●緊急時でもつくれる料理&避難生活用品・20選
●避難所でもレクリエーションゲーム・31選
●避難所でも楽しめるかんたん工作・6選
著者である神谷明宏氏は、東日本大震災の被災地調査を通じて「日頃の備えが大事」であることを痛感されました。
そして、BBQやキャンプのアウトドア知識が非常時に役立つということも。
この気づきをきっかけに、40年以上以上にわたって子どもたちにキャンプ技術を教えてきた著者自身の経験を世に役立てたいと執筆されたのが本書なのです。
Part1.みんなで考えよう防災対策
それでは、本書の具体的な内容を紹介していきます。
まずは、災害前の備えから。
重要なのは、正しい知識と先人の知恵=経験を身に着けることです。
この章では、子ども達や家族内で話し合ったりする内容がまとめられています。
「遊び」というより、フィールドワークのような「学び」の要素が強いですが、いずれも重要なこと。
どういった論点があるか、ということを知るだけでも参考になるので、学ぶ点を列挙して紹介します。
・実地を見ながらの、住んでいる地域の防災マップ作り
・古くから地域に住んでいる方の経験談や伝承インタビュー
・避難所までの安全経路の実地確認
・町の中の緊急時設備や避難所チェック
・地震・雷・家事・津波・台風といったケースごとの状況と危険の予測とその対処想定
・災害時の家族ルールの話し合い
・災害別の「避難方法」の検討
・災害時ピクトグラム(標識)を覚えよう
・ロープワークを覚えよう
・ブルーシートのテントでキャンプ
・ロープでハシゴをつくってみよう(2回からの脱出)
・自分より大きな人を運べる方法を知ろう
・非常持ち出し袋チェック
・非常食を実際に食べ比べてみよう
・防災かるたを作って遊ぼう
・家の中の安全点検をしよう
大事なことは、楽しみながらやること。
できれば、家族や友達などを巻き込んでワイワイやっていきましょう。
そして、実際に見たり聞いたりすることも大事。経験は学びです。
Part2.かんたん料理&グッズ
災害時には、水道や電気といったインフラが使えなくなります。
また、コンビニや商店と言ったお店も物が売れなくなり、物資が手に入りません。
さらに、避難所には多くの家財道具は持ち運べません。
そんな時に役に立つのは、代用品を活用するスキルだったりお役立ちグッズです。
本書で紹介されている緊急時のお役立ちレシピを列挙します。
いずれも、手に入りやすい物資で簡単に作れます。
そういった手軽さも、災害時に大事なことです。
・アルミ缶や耐熱性ビニール袋でご飯が炊ける
・紙袋で目玉焼き
・牛乳パックでホットドック
・汁物を画用紙の鍋で作ろう
・牛乳パックからスプーンやろうそく作り
・広告チラシの食器
・ロウソクを新聞紙で消えにくくする方法
・アルミ缶のランタン
・ツナ缶のランプ
・ジャムなどの広口ビンのキャンドル
・キッチンペーパーのマスク
・ラップの包帯とレジ袋の三角巾
・新聞紙の防寒着
・ペットボトルとダンボールのテーブル
・ダンボールのスリッパやベッド、ねぶくろ、簡易トイレ
・ビニール袋のレイングッズ
身近な素材が、いろいろなグッズに化けるものですね。
緊急時の物資不足を創意工夫で乗り切りましょう。
Part3.避難所で楽しむレクリエーションゲーム
避難所は、大人はもちろん子供たちもストレス過多。
しかし、避難所では日ごろの「娯楽」ができなくなることも。
スマホやゲーム機は、電気が供給されないので使えなくなります。
とはいえ、避難生活にも、笑顔や気分転換は必要。
そんな時は、アナログな遊びです!
本書では、身振り手振りだけで楽しめる遊びなどが紹介されています。
ジャンケンを応用した遊びも多く、中でも多人数でも楽しめる「人間ボーリング」に、よく考えたな、と。
人間ボーリングとは!
攻めと守りの2チームに分かれ、守りチームはボーリングのピンのフォーメーション(三角型)をとります。
攻めチームは1人ずつ、守りチームにジャンケンを挑みます。
攻め側が、守り側の1列目に勝てば、次に2列目の誰か1人、勝てば次は3列目の誰か1人……とすすみ、最後の列に勝てば、攻めの勝ち。
攻め側は最後の列に勝つ前に負けると、次のプレイヤーが守りの1列目に挑戦……とプレイヤーを変えてやり直しとなります。
守り側は、すべての攻め側プレイヤーを負かすと勝ち。
要は、攻め側の誰かが最後まで連勝すれば勝ち、というものです。
攻め側が連勝できるかどうか、だけのゲームに見えて、攻め側は守りの2列目以降は誰と勝負をするのか、ということでも楽しめますね。
「●●さんは強い!やっぱり△△さんと勝負しろ!」とか。
笑いはパワーです。
Part4.かんたん工作・ふれあい人形
本書の最終章では、避難所で手に入りやすいモノで作れる人形のレシピが紹介されています。
親と子が遊んだり、1人遊びもできるカワイイ人形が作れますよ。
・封筒の動物人形
・紙コップ人形
・靴下のヘビ人形
・アルミホイルと軍手の目玉人形
・軍手のフラダンス人形
前章でも書きましたが、笑いはパワー。
娯楽の乏しい避難生活ですが、笑顔をもたらすお人形さんを手作りしてはどうでしょう。
おわりに
著・神谷明宏「いざ!に備える遊びで防災で防災体験BOOK」を簡単ですが、ご紹介いたしました。
紹介と言っても、目次の列挙のようになってしまいましたが。
ただ、本記事を作成してみて、ブログ主は「知らないといけないことがわからない」ことが防災には多いのでは、と感じました。
調べないといけないこと、考えないといけないこと。
それが全くわからないのです。
大砂漠の中で、埋もれた財宝を掘り出してください、のようなとっかかりのなさです。
本書のような書籍は、ざっと読むだけでも役に立ちます。
こういう情報を知った方がいいよ。
こういうことを考えた方がいいよ。
そういった方向性だけでも知ることが大事で、その方向を示してくれます。
この記事も、「防災について考えてたけど、こういう事項が漏れてたな」という気づきに繋がってくれれば幸甚です。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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