私たちは「自分を変えりたい」と願いながら、なかなか変えられないものです。
ダイエットが続かない……
朝活が三日坊主で終わる……
嫌な習慣をついまた繰り返してしまう……
その原因のひとつが「ホメオスタシス(恒常性)」と呼ばれる、人間の本能的な反応です。
今日は、そのホメオスタシスについてみていきます。
ホメオスタシスとは何か?
ホメオスタシスとは、「生物の体内の状態を一定に保とうとする仕組み」のこと。
例えば、体温が上がれば汗をかいて体温を下げようとする仕組み。
逆に、体温が下がれば震えることで体温を上げようとします。
血糖値も、ホルモンの働きで常に一定範囲に保とうとします。
このホメオスタシスは、生命維持にとって非常に大切なメカニズムです。
そして、身体だけでなく「心や行動にも同じ仕組み」が働いているのです。
心のホメオスタシスとは?
たとえば、あなたが「もっと社交的になろう」と決意したとします。
そして、いざ飲み会や交流会などに参加しても、無意識のうちに口数が減って、結局誰とも話せずに帰ってしまう。
あるいは、「毎朝、5時に早起きしよう!」と意気込んでも、3日後には、10時起床に戻ってしまう。
こうした「変わろうと決意したけど、元に戻ってしまう」ということは、ホメオスタシスの影響です。
脳や心は「今の自分の状態が安全」と判断し、変化を危険とみなすのです。
脳にとって「変化=リスク」なのです。
ホメオスタシスの特徴
それでは、この「ホメオスタシス」の特徴を詳しく見ていきましょう。
現状維持を最優先する
環境の変化などを苦痛に感じるのは、ホメオスタシスが「前の状況=現状」を守ろうとするからです。
ホメオスタシスにとって、「(状況はどうあれ)生きてきた今までの状況」が絶対なのです。
無意識で働く
自分では「やろう!」と思っているのに、なぜか行動が止まってしまう。
それは、ホメオスタシスが無意識で働くからです。
いわゆる潜在意識の中で、「自分は変わらない方がいい」とストップをかけているのです。
習慣を強く固定する
人間は、3週間、3か月と同じ行動を取り続けると、その行動が「習慣」となります。
習慣化した行動は、「新しい基準」として脳が記憶し、今度はそれを守ろうとします。
ホメオスタシスの対象となる状況は、書き換えることができるのです。
ホメオスタシスを突破するには?
それでは、ホメオスタシスを書き換えるには、どうしたらよいのでしょうか。
「人間は変わりたくない生き物だ」と理解する
まずは、「変われない自分」を責めるのをやめましょう。
変えようとしても思い通りにならないことを、「これは本能だから」と受け止めること。
自分を責めても、なんにもなりません。
「少しずつ変える」が効果的
大きくジャンプする変化よりも、毎日1%の行動変化の方が、ホメオスタシスを欺くのに効果的です。
たとえば……
■朝8時に起きているが、朝活のため早起きしたい!
×・いきなり朝5時起き
○・まずは30分早く起きる
■引きこもりから、運動習慣をつけたい!
×・いきなり毎日ランニング
○・まずは3分の散歩から始める
「今の自分の状態」を記録する
人は変化していても、自分では気づきにくいものです。
そのため、日記やメモなどで記録を残し、後で見返せるようにしましょう。
このことで、「自分は確かに変化している」と実感ですることができ、ホメオスタシスの壁を少しずつ超えていけます。
新しい習慣にして、ホメオスタシスを味方につける
面白いことに、ホメオスタシスは“敵”ではなく、“味方”にもできるのです。
たとえば、「毎朝、歯磨きする」という小さな習慣を2週間続ければ、脳がそれを“当たり前”と認識します。
すると今度は、やらないと気持ち悪くなります。
つまり、「新しい習慣」が自分の中で“平常状態”になれば、ホメオスタシスがそれを守り始めてくれるのです。
最後に:新しい自分になるための合言葉
「変わるのは怖い。でも、変わらないのはもっと怖い。」
変化の第一歩は、勇気ではなく「理解」です。
ホメオスタシスという本能的な壁があることを知り、小さな行動をコツコツ積み上げることが、「新しい自分」への近道です。
根性だけでは、新しい自分へ出会えません。
焦らず、でも確実に。
今日から1%ずつ、変わってみませんか?
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