(書籍紹介)ご利益別仏像おまいり入門【松島龍戒】

書籍紹介

今回、ご紹介する書籍はこちら!

タイトル お寺めぐりが楽しくなる! ご利益別 仏像 おまいり入門
著者 松島龍戒(高野山真言宗功徳院すがも平和霊園住職)
出版社 ナツメ社
初版発行年月日 2020年11月2日

 

本書は、「仏像」と一括して表現される、金属や木などでかたどられた仏様の詳しい見方を紹介してくれる書籍です。

仏像のみならず、「仏教の成り立ち」から「御朱印とは?」といった、予備知識なしの人に向けた仏教Q&Aも収載されています。

「(乱暴な表現ですが)仏像なんて、みんな似たようなものでしょ」という方に読んでいただきたい1冊です。

本記事では、本書の内容をおおまかに紹介させていただきます。

 

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御利益別・仏像54選

それでは、本書で紹介されている仏像=仏様を、御利益別に挙げさせていただきます。

書籍では、仏像1体ごとに、わかりやすいイラストで紹介されています。

所願成就

仏像名 読み方 別の名 備考
釈迦如来 しゃかにょらい おしゃか様、ブッダ 仏教の開祖
大日如来 だいにちにょらい 密教における最高位の仏様
聖観音菩薩 しょうかんのんぼさつ 33の変化身がある

 

開運・運気上昇

仏像名 読み方 別の名 備考
十一面観音菩薩 じゅういちめんかんのんぼさつ
千手観音菩薩 せんじゅかんのんぼさつ 千手千眼観自在菩薩、蓮華王 二十八部衆を従える
如意輪観音菩薩 にょいりんかんのんぼさつ

 

金運・商売繁盛

仏像名 読み方 別の名 備考
宝生如来 ほうしょうにょらい 五智如来の1つ
大黒天 だいこくてん 大黒様、シヴァ神、マハー・カーラ、大国主命 七福神の1人
弁財天 べんざいてん 弁才天、サラスヴァティー 七福神の1人
荼枳尼天 だきにてん お稲荷さん、ダーキニー 狐ではなく、天女の仏様

 

恋愛運

仏像名 読み方 別の名 備考
不空羂索観音菩薩 ふくうけんじゃくかんのんぼさつ
普賢菩薩 ふげんぼさつ 文殊菩薩とコンビ
愛染明王 あいぜんみょうおう ラーガ・ラージャ

 

美容運

仏像名 読み方 別の名 備考
日光菩薩・月光菩薩 にっこうぼさつ・がっこうぼさつ 薬師三尊像の2体
吉祥天 きっしょうてん ラクシュミー 夫は毘沙門天、子は善膩師童子
摩利支天 まりしてん マーリーチ、ウシャス

 

仕事運

仏像名 読み方 別の名 備考
梵天 ぼんてん ブラフマン 釈迦に説法することをすすめた仏様
帝釈天 たいしゃくてん インドラ

 

学業成就・受験合格

仏像名 読み方 別の名 備考
不空成就如来 ふくうじょうじゅにょらい 五智如来の1つ
文殊菩薩 もんじゅぼさつ 普賢菩薩とコンビ
虚空蔵菩薩 こくうぞうぼさつ 五大虚空蔵菩薩
勢至菩薩 せいしぼさつ
広目天 こうもくてん 四天王の1人

 

健康運

仏像名 読み方 別の名 備考
薬師如来 やくしにょらい 薬師瑠璃光如来
阿閦如来 あしゅくにょらい アクショービヤ 薬師如来と同一視されている
増長天 ぞうちょうてん 四天王の1人
妙見菩薩 みょうけんぼさつ 妙見さん、北辰菩薩
金剛力士 こんごうりきし 仁王様 執金剛神が2体に分身した姿
烏枢沙摩明王 うすさまみょうおう トイレの神様、アグニ

 

家内安全

仏像名 読み方 別の名 備考
毘盧遮那仏 びるしゃなぶつ 毘盧遮那仏如来 「奈良の大仏」の仏像はこの仏様
歓喜天 かんぎてん 聖天 男女の仏様。男天はガネーシャ、女天は十一面観音の化身
秋葉権現 あきばごんげん 秋葉三尺坊大権現
三宝荒神 さんぽうこうじん 荒神さん

 

子宝・安産・子の成長

仏像名 読み方 別の名 備考
准胝観音菩薩 じゅんでいかんのんんぼさつ ドゥルガー、七倶胝仏母
白衣観音菩薩 びゃくえかんのんぼさつ 大白衣観音、白衣観自在母、白処、白衣母、白衣明妃 阿弥陀如来の妃、全ての観音菩薩の母
地蔵菩薩 じぞうぼさつ お地蔵様
鬼子母神 きしもじん
青面金剛 しょうめんこんごう 帝釈天の使い

 

交通安全

仏像名 読み方 別の名 備考
不動明王 ふどうみょうおう 波切不動 大日如来の化身
韋駄天 いだてん

勝負運

仏像名 読み方 別の名 備考
多聞天 たもんてん 毘沙門天 四天王の1人にて七福神の1人。妻は吉祥天、子は善膩師童子
大威徳明王 だいいとくみょうおう 阿弥陀如来や文殊菩薩の化身
金剛夜叉明王 こんごうやしゃみょうおう ヴァジュラヤクシャ 不空成就如来の化身

 

メンタル強化

仏像名 読み方 別の名 備考
降三世明王 ごうざんぜみょうおう 阿閦如来や大日如来の化身
軍荼利明王 ぐんだりみょうおう 宝生如来の化身

 

世界平和・国土安穏

仏像名 読み方 別の名 備考
持国天 じこくてん ドゥリタラーシュトラ 四天王の1人
八幡大菩薩 はちまんだいぼさつ 八幡様、応神天皇
大元帥明王 だいげんすいみょうおう アータヴァカ

 

来世のしあわせ

仏像名 読み方 別の名 備考
阿弥陀如来 あみだにょらい 無量寿如来
弥勒菩薩 みろくぼさつ マイトレーヤ、未来仏
馬頭観音菩薩 ばとうかんのんぼさつ ペットや家畜の守護者

 

懺悔

仏像名 読み方 別の名 備考
閻魔 えんま 閻魔大王 地蔵菩薩の化身
孔雀明王 くじゃくみょうおう 仏母大孔雀明王菩薩、孔雀王母菩薩
蔵王権現 ざおうごんげん 役小角 釈迦如来、千手観音、弥勒菩薩の化身

 

 

「仏像」の基本情報

本書では、おさえておきたい仏像の基本的な情報も紹介されています。

「仏像」は大きく5つに類別できる

仏像の類別 詳細
如来 すでに悟りを開いている存在
菩薩 悟りを開くために懸命に修行している存在
明王 仏教の教えに従わせる役割を持つ存在
もともと違う宗教の神様が、仏教に取り入れられた存在
垂迹(権現) 日本で古来より信仰された神様が仏教と結びついて生まれた存在

 

仏像の姿の種類

立像(立っている姿)

像の種類 説明
斜勢像(しゃせいぞう) 片足を少し前に出して立っている姿
正立像(しょうりゅうぞう) 両足を揃えて、まっすぐ立った姿
経行像(きんひんぞう) ゆっくりと歩いているような姿
侍立像(じりゅうぞう) やや前かがみになっている姿
丁子立像(ちょうじりゅうぞう) 右足を高く上げている姿
舞勢像(ぶぜいぞう) 片足立ちで、さらに踊っているような姿

 

坐像(座った姿)

像の種類 説明 像の小分類 説明
結跏趺坐(けっかふざ) 座禅や瞑想をする時の座り方をした姿 吉祥坐(きっしょうざ) 左足が上、右足が下になっている座り方
降魔坐(ごうまざ) 右足が上、左足が下になっている座り方
半結跏坐(はんけっかざ) 片足のみ、反対のももにのせる座り方
倚坐(いざ) イスに座っている姿 善跏倚坐(ぜんかいざ) 台座に坐り、両足を下ろした姿
半跏倚坐(はんかいざ) 台座に坐り、右足を曲げて左ひざの上にのせている姿
臥像(がぞう) 身体の右側を下にし、右手を頭の下において横になっている姿。涅槃像とも。
その他 輪王坐(りんのうざ) 右足を立てひざにして、左足の裏にあわせた姿
箕坐(きざ) 正坐の状態から、足を横にくずした姿

 

光背(仏像の背後の飾り)

光背の種類 説明
円光(えんこう) 丸い形をしたシンプルなもの
二重円光(にじゅうえんこう) 円光の下に、さらに大きな円光がついているもの
火焔光(かえんこう) 炎が燃え上がっている様子のもの
放射光(ほうしゃこう) 放射状に広がる光を表したもの
舟形光(ふながたこう) 舟のような形をしているもの(本当は1枚の蓮華の花びらをかたどっているもの)
宝珠光(ほうじゅこう) 如意宝珠(にょいほうじゅ)をかたどったもの(ブログ主の所感:スライムのようなかたち)

 

台座

台座の種類 説明
蓮華座(れんげざ) 蓮の華をかたどった台座
踏割蓮華(ふみわりれんげ) 左右の足を1輪ずつの蓮華に乗せたかたちのこと
須弥座(しゅみざ) 仏教世界の中心にあり、仏様が住むという須弥山(しゅみせん)をあらわした台座
裳懸座(もかけざ) 仏様の身につけている衣の裾が台座にかかっている姿・状態のこと
岩座 文字どおり、ゴツゴツとした岩の台座
瑟瑟座(しつしつざ) 人工的なデザインでできた台座
鳥獣座(ちょうじゅうざ) 獅子や孔雀、像といった動物の姿をかたどった台座
邪鬼(じゃき) 世界で悪さをする鬼を踏みつぶしている姿・状態のこと。邪鬼が仏教に降伏したことを現しています

 

持物(「じぶつ」と読む。仏が持つアイテム)

持物の種類 説明
蓮華(れんげ) 蓮の華は、清らかさや転生をあらわす
水瓶(すいびょう) 穢れを洗い清め、願いをかなえる水が入った瓶
薬壺(やっこ) 心身共にあらゆる病に効果がある薬が入った壺
宝珠(ほうじゅ) 様々な願いを叶えるとされる宝石
宝剣(ほうけん) 智慧のパワーで煩悩を断ち切る剣
経巻(きょうかん) お釈迦様の知恵をあらわす
宝塔(ほうとう) お釈迦様の遺骨(仏舎利・ぶっしゃりという)を納めた塔
羂索(けんさく) 5色の糸をより合わせ、先頭に輪っかをつけた網。救済を求める人々を優しく救い上げるもの
錫杖(しゃくじょう) 先端に数個の小さな輪がついた杖。地面につくとチャリンと音が鳴ると、悪を追い払うという
法輪(ほうりん) 車輪の形をした武器。人間の迷いや邪悪な心を仏教が追い払うことをあらわす
金剛杵(こんごうしょ) 煩悩を打ち砕く強い力があるという武器

 

印相(手・指の組み方)

印相の種類 説明
施無畏印(せむいいん) 指先を上に向け、手のひら(パーのかたち)をこちらに向けている印。「恐れなくていいよ」というメッセージをあらわす
与願印(よがんいん) 指先を下にむけ、手のひら(パーのかたち)をこちらに向けている印。願いを考えることをあらわす
定印(じょういん) 両手のひらを上に向け、左手の上に右手を重ね、親指同士を触れ併せておへその前で結ぶ。いわゆる座禅で組む印。最高の悟りをあらわす
智拳印(ちけんいん) 左手の人差し指を立て、右手で握る印。仏教で最高の智慧をあらわす
降魔印(ごうまいん) 手の甲を前にして、指先で地面にそっと触れる印。悪魔に打ち勝つことをあらわす
降三世印(ごうざんぜいん) 両手を胸の前で交差し、小指を絡め、人差し指を立てる印。悪魔をねじ伏せることをあらわす
合掌印(がっしょういん) 胸の前で両手のひらを合わせる印。尊敬や感謝をあらわす

 

仏像の主な作り方

作り方の種類 説明
金属 主に、型を作って、銅を流し込んで金メッキをほどこす方法
粘土で作り上げる方法。塑像(そぞう)という
うるし 漆を使った仏像は、乾漆像(かんしつぞう)という
1本の木材から彫り出す「一木造り」、複数の木材を使う「寄木造り」など数種類の作り方がある

 

 

おわりに

松島龍戒・監修「お寺めぐりが楽しくなる!ご利益別仏像おまいり入門」を簡単ですが、ご紹介いたしました。

仏像の説明のほか、下記のような仏教に関する説明が、1項目ごとにイラスト入りの見開き1ページで分かりやすく収載されています。

・仏教の成り立ち

・日本の仏教の宗派や、上座部仏教・大乗仏教の違いとは

・お寺のお参りの心得

・御朱印ってなに?

・秘仏はなぜ秘密にされているの?

・仏像はなぜ、もとの金色等に戻さないのか?

仏教や仏像に興味がある方は、まず最初に読んで仏教に親しむ本としてもオススメの1冊です。

ここまでの御高覧、ありがとうございました!

 

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