今回、ご紹介する書籍はこちら!
タイトル | 空海さんに聞いてみよう。心がうれしくなる88のことばとアイディア |
著者 | 白川密成(真言宗・栄福寺(四国八十八カ所霊場第57番札所)住職) |
出版社 | 徳間書店 |
初版発行年月日 | 2012年2月29日 |
本書は、「弘法大師」の名でも知られている仏教・真言宗の開祖である空海(くうかい)が残した言葉を、現代の真言宗の僧侶である著書が解説してくれる1冊です。
空海を歴史上の偉人としてではなく、親しい人生の先輩「空海さん」として、その言葉に耳を傾けてみましょう、という主旨の本です。
空海さんは仏教の一宗派の開祖であるため、仏教的な視点からの言葉にはなりますが、他宗教を排他するような言葉はありません。
仏教徒以外の方にも読んでいただきたい、と思う書籍です。
本記事では、本書の内容をおおまかに紹介させていただきます。
本書のテイスト
本書には、88の空海さんの言葉が収載されていますが、5つのテーマごとに証が分かれています。
「地の章 あなたと私をつくる言葉」
「水の章 こころにうるおいをあたえる言葉」
「火の章 エネルギーを受けとる言葉」
「風の章 人生を前に進める言葉」
「空の章 宇宙と仏、そして生死の言葉」
言葉1つにつき、5種類の情報が載っています。
・「問い」と、空海さんの言葉を現代語で意訳した「答え」
・空海さんの言葉と出典文献(原文)
・空海さんの言葉の原文の現代語訳
・2ページ程度の仏教的なエピソードが盛り込まれた解説文。
・「たとえば何かやってみよう」という著者オススメのアクション
この解説文も、押しつけ・決めつけによるものではなく、やさしく諭してくれるような文体で、違和感なく読めます。
「仏教を広めるための説話」という匂いがしないからかもしれません。
88の言葉のいくつかを紹介
本書に収載されている88個の言葉をいくつか紹介させていただきます。
「弘法大師は、やっぱり筆を選びませんよね?」
日本のことわざで、「弘法筆を選ばず」という言葉があります。
「弘法大師=空海さんのように文字を書くのが上手な人は、筆を選ばない。本当に技術の高い人は道具を選ばない」という意味です。
しかし、空海さんが残した天皇へ送った手紙の中では、正反対の言葉が残されています。
「選びます。製作もさせて吟味します」と。
(『遍照発揮性霊集』巻第四より
技術の優れた職人は斬れる刀を用い、
文字を巧みに書く人は必ず良筆を用いるものである。)
野球選手で勇名をはせたイチロー選手は、文字どおり「道具を身体の一部」として丁寧に扱っていたことは有名ですが、優秀なスポーツ選手や音楽家たちは、すべからく道具を大切にしてきました。
普段の生活で、なにかうまくいかないことがあったりした時、自分の相棒・体の一部である「道具」を今一度大切に手入れをしてみてはどうでしょうか。
また、何かを始めるときに、道具にもこだわってみるのもいい方法かもしれません。
実際、空海さんは、仏教の修行に適した地として「高野山」を開創しており、自分の道具・場所を選ぶ、果ては創り出すことまで行っているのです。
「笑われたり、非難を受けたら行動を辞めるべきですか?」
自分が、何かに気づいたり、決心したりして行動を起こそうとすると、
「そんなの話にもならんよ」
「絶対無理。やめておけよ」
と、よく声を掛けられるものです。
しかし、空海さんは言います。
「自分が気づいたことの中に、大事なものが有ることが多いのです。」と
(『般若心経秘鍵』より
酔いに狂った人は、
酔っていない人を笑い、
ひどく眠りこける人は、
さわやかに目覚める人を馬鹿にするものだ。)
例えば、宴席で酒に酔った人たちは、酒を飲んでない人に「えー、飲まないの? 飲もうよ。あはは」と笑うことがあります。
これは日々の生活も同じこと。
「あなたが気づいたある事」に「気づいていない人」は、「気づいたあなた」を笑うかもしれません。
しかし、人に笑われたからと言って、「自分の声・気づき」を無かったことにしてしまうのは、あまりにもったいないことです。
いつだって「自分が正しい」わけではありませんが、時には周りの声に振り回され過ぎないようにしてもよいのではないでしょうか。
おわりに
白川密成・著「空海さんに聞いてみよう。心がうれしくなる88のことばとアイデア」を簡単ですが、ご紹介いたしました。
本ブログ記事で紹介したのは2つだけですが、身近なテーマを扱ったものをピックアップしたつもりです。
本書には、こうした我々の生活の身近なテーマから、人の死生観という重たいテーマまで、幅広く取り扱われています。
人生の先輩・空海さんに聞きたい事、教わりたい事があれば、本書を是非、手に取ってみてください。
ここまでの御高覧、ありがとうございました!
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