食器はどれでも一緒。器としての機能があれば、100均も名工品も一緒。
そう思っていた時期がありました。佐々井です。
ある漫画に出会い、ハマった結果、考えが一転!
お気に入りの器を想像し、探しに探しまわることとなりました。
そして、見出した器は、湯呑1個、汲出1個です。(上記写真のもの)
*注・湯呑の数え方は「個」でよいですが、お客様用に備えているものは「客(きゃく)」と数えます。
この湯呑たちを使っていくうちに、生活のふとした瞬間に安らぎを感じることができるようになりました。
「あぁ、この器でお茶を楽しめている。幸せとは、こうした瞬間かもな」
そんな一瞬をもたらしてくれた湯呑に感謝しています。
この記事に目を向けてくれた貴方にも、お気に入りの器はありますか?
気になっている器はありますか?
価格の問題もありますが、気になる器があったら買ってみてはいいのでは?という記事です。
よろしければ、お付き合いください。
漫画「へうげもの」との出会い
古田重然(ふるたしげなり)という戦国武将御存じでしょうか?(Wiki)
またの名を古田織部(重然が賜った官職名「織部助」から)、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康に仕えた武将・茶人です。
その古田織部を取り扱った作品の中で、異色を放つ傑作漫画「へうげもの」(作:山田芳裕)があります。
ダイナミックかつ斬新な演出と歴史の解釈。
フィクションとノンフィクションを織り交ぜて、安土桃山時代~江戸時代初期を描いているおすすめの漫画です。
この漫画で有名なシーンの1つとして、本能寺の変の話がありますね。
本能寺の変を起こそうとする明智光秀。
その光秀を反乱を起こすよう誘導した豊臣秀吉。
しかし、秀吉は光秀では信長を仕留めきれないと見るや、明智勢が本能寺到達する前に、秀吉自身で信長の胴を一刀両断!
しかし、上下に胴が切断された後、上半身が下半身の上にスポッと着地して、まだ生きている信長!
その信長、自分を殺した秀吉に、お湯の代わりに己の胴から流れる血で茶をたて、ふるまった後に絶命!!
その絶命する瞬間の信長のセリフもキマってました。機会があれば読んでいただきたい!
・・・古田織部の話はどこ行った。
ともかく、「へうげもの」、歴史ファンも、そうでない方にもオススメです。
そのアクの強い漫画の主人公「古田織部」は、「武人」と「茶人」の2つの顔を持つ「ひょうげもの」として、東奔西走する生涯を送ります。
その生涯において、「へうげもの」では、デフォルメされたりして描かれていますが、事実として「織部好み」といわれる「茶の湯の作法」や「茶室」「茶器」を生み出し、今の現代まで伝えられています。
この漫画を読み、いささか興味を持った私は、ある日、何の気なしにGoogleで「織部 茶器」で検索をかけました。
「あの面白い漫画に出てくる茶器って、実際どうなん?」くらいの気持ちで。
いくつかの茶器の画像が出て、心がグミンッと動きました。
美しい深みのある緑が用いられた器の数々・・・
一瞬にして心奪われました。
自分のパーソナルカラーが、「白」から「暗緑色(織部色)」に変わった瞬間でした。
まぁ、多少ミーハーな部分が自分にはあると思うのですが、この深い緑色は一瞬で気に入りました。
記事を読んでいただいている方も、なにかに一瞬で心を奪われたことはありませんか?
恋もそうかもしれませんが、出会いって、どこに転がってるか分からないなぁって思います。
自分の「織部焼」を求めて
さて、茶器に心奪われた私。
こうなると、「織部色」の器=織部焼が欲しくなってきます。
よく、お金の無駄遣いを減らす方法として、「欲しい!」と思ったときは、一晩か二晩おいて、改めて考える、というものがありますが、今回は矢も楯もたまらず、というありさま。
寝ても覚めても織部焼が頭を巡ります。
・・・骨董品にハマっている人の感覚って、こういうものなのかな?
しかし、ケチでもある私は、とりあえず価格を見て考えよう、とも思ったので織部焼について調べることに。
鳥取県に存在する陶芸工房では織部焼は作っておらず、「陶器屋」の看板を掲げている店、郊外ショッピングモール、100均を探すが、そこにも無く。
さすがに、鳥取県在住の私には、古田織部の所領であった岐阜県土岐市まで行って買ってくるのは一苦労。
(織部焼が属する「美濃焼」を扱った商業団地:織部ヒルズなんてステキ空間が土岐市にあるようで。行ってみたい!)
結局、ネットで検索することに。
器全体に釉薬がかかり、暗緑色一色の器(いわゆる総織部)を求めていたので、そうそうモノは見つからず。
いわゆる職工の名が出るような工芸品のようなものは・・・・・・やはり高い。手が出ない!
普段使いする器に、そう多額のお金を投じられるほどウチは裕福じゃない。
どんどん探すうちに・・・・・・あった!! あれ? 業務用!?
見つかったのは、旅館などで用いられる業務用の「汲出(来客用の湯飲みのこと)」でした。
・・・業務用?
いや、自分が気に入れば(それとコストが妥協できれば)業務用だろうが量産品だろうが問題なし!
すぐポチっとお買い上げしました。
・・・・・その数日後に、何気なく立ち寄った百貨店の日用品コーナーに、今度は総織部の湯飲みを発見したのでした。(ネットで購入したものとほぼ同額)
遅いよ。
でも買ったよ。
ネットで買った総織部の「汲出」と、某百貨店で買った「湯呑」↓
期せずして、お気に入りの器を2つも手に入れた幸運な私でした。
こういうタイミングとか店頭にヒョッコリ出てくるというのも縁というやつなのかな?
お気に入りの器を手に入れた生活
念願の器を手に入れたぞ!
と意気込んで、2つの湯飲みを自宅で使い始めた私。
最初は、器を眺めたりして悦に入ってましたが、段々と普通の器と同じ扱いに。
一時のフィーバーで買っちゃったけど、結局、100均で買う器と同じことになってないか?
そんなことはありません。
忙しいときや、日常生活の大半では、たしかに100均のコップと総織部の器、使い方や使った感想などは一緒です。
「気にも留めない」ですね。
でも。
自宅でしていた仕事が終わって一服するか、とか、家族でお茶でもするか、というときに、総織部の器に妻がお茶を入れてくれる時に、フッと思うんです。
「この器買ってよかった。お気に入りの器で一時の幸せをかみしめる。至福」
一瞬ですが、悦に入れます。
「安らぎの瞬間を感じるためのトリガーになるアイテム」として、お気に入りの器、おすすめです。
(でも、価格面はお財布とご相談あれ)
まとめ
お気に入りの茶器があるメリットは、「安らぎを感じるトリガーになるアイテム」の効果があるというお話でした。
人によって、食器や茶器の好みはそれぞれですが、それぞれのお気に入りの品が見つかるといいな、と思います。
これは、器だけの話じゃないかもしれませんね。
車や楽器、電子機器や装飾品などなど。
身の回りに存在する無機物のすべてに言えることだと思います。
ただ、お気に入りの品の購入検討には、やはり自分の財力との相談も欠かせないと思います。
また、「気に入った!」でどんどん買い込んで、器をため込むのも考え直す余地があるように思います。
スポーツで言うレギュラーとして使い続ける気持ちがあるモノを買い、そのとおりに使い続けるのが大事だと個人的には思うのです。
普段使いできて、そのモノが壊れる瞬間まで楽しみ切る。
それが、そのモノが「冥利に尽きる」と感じてくれる使い方なのかな、って。
(茶器には、壊れても「金継ぎ(きんつぎ)」というテクニックで復元させる伝統の技があります。初心者向けのキットなんかもありますよ)
貴方のお気に入りとして購入したいものはなんでしょうか?
末永く使い続けられる良きモノと巡り合えるのをお祈りし、この記事を終えさせていただきます。
ここまでの御高覧ありがとうございました!
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